特別談話「生物」

生徒の能動的な学びで「問題集」を活用

特別談話「生物」

新課程で変化の大きい理科のなかでも、とくに生物は内容が刷新されたため、現場でのご指導も大変だということをお聞きしています。
今回は、そのような状況を逆手にとって、生物のご指導で成果を出されている鹿児島県立武岡台高等学校の亀澤みどり先生に、お話をうかがいしました。生徒どうしが自主的に教え合いながら教材(問題集)に取り組んでいます。

亀澤みどり(かめざわみどり)先生

鹿児島市立谷山北中学校、鹿児島県立高山高等学校、県立大島高等学校、高校教育課指導主事などを歴任。現在は県立武岡台高等学校に勤務。モットーは「生徒と共に学び、共に成長し続ける」。授業でも、先生ご自身が身振り手振りなど五感を使った表現でご指導されています。

愛着がある「My参考書」をつくろう

はじめに自分で選ばせる

特別談話「生物」

最初の授業で、レベルの異なる2冊の問題集を全員に配布しています。
1冊は『進研WINSTEP生物』で、もう1冊は別の問題集です。どちらももっぱら自学自習用として活用します。

生徒たちには、それぞれの問題集の特長を説明したうえで、「はじめはみんな同じ問題集だけど、しっかり使い込んでいくことで自分だけの『My 参考書』にしていきましょう!」と伝えています。2冊を配布するのは、どちらから取り組むかを「自分で選択する」ことに意味があるからです。生徒たちの気持ちのなかで「自分で決めたんだ」という思いにさせたくて、2冊を同時に配布しています。さらに、それぞれの問題集のどの問題から取り組むかも、生徒自身が決めるようにしています。

生徒たちからは、次のような感想をもらっています。「自分のペース」が良いみたいです。

  • 基礎から徹底できる
  • 書き込みながら確実に進められる
  • 期限を気にせずに時間をかけて納得するまで考えることができる
  • 基礎は早くすませて、思考問題を数多く演習できる

問題集に取り組ませるという意味では、教師からの「○○問題集の△△番までを、□□日に提出しなさい」という指示・強制でも、生徒にとってやることは同じです。しかし、「自分で選択する」というプロセスにより、そのあと主体的に取り組むかどうかが大きく変わってくるのです。
また、強制した場合は、そのときの生徒の状況と教材との間にミスマッチが生じることがあります。生徒たちには「自分のペースで」ということも、いつも言っています。


問題集を通じた生徒とのコミュニケーション

生徒が自分で計画を立てて学習するようになるまでには、かなりのエネルギーを要するので、最初のうちはきめ細かくフォローするようにしています。問題集を与えて「さぁ、やってみましょう!」だけでは、なかなか継続しません。はじめのうちは、次のような工夫をしています。


  • お互いの問題集を見せ合う時間をつくる
  • 授業中でも「これはいいね!」とか「工夫しているね!」などと紹介する
  • 活用例をカラーコピーして配布する
  • 生徒どうしで進捗を確認し合うようにする

はじめはどうすればよいかわからない生徒も、いろいろな取り組み例を紹介すると「これ良いなぁ」とか「私もやってみよう」と、真似るようになります。そのうち、生徒たちは、語呂合わせを記したり、細胞の図を色鉛筆で彩色したり、思考過程を付箋に書いて整理するなど、それぞれ工夫するようになります。


もちろん、理解の早い生徒だと、参考書づくりに時間をかけるよりも、初めから問題を解いた方が力になることもあります。なので、生徒たちには、こういうのがありますよ、という程度に紹介するようにしています。


問題集の取り組み状況は、今日は3年生の1列目、明日は2列目というように、空き時間を使って確認しています。一人の生徒ですと、2〜3週間に1回くらいのペースで見ることになります。一度にたくさんの生徒の取り組みを見ることができないので、その間を、生徒どうしの教え合いで進めています。


私からは、提出ごとに褒めや励ましの付箋を貼ったりしています。シールも意外と喜びます。学習の履歴がポイントとして貯まっていくような感覚(ゲーミフィケーションの要素)だと思います。どの生徒も見てほしくて嬉々としてもってくるようになります。


普段おとなしい生徒でも、書くことはしっかりできる生徒もいます。書くことが苦手な生徒でも、1行でも何か書いていると、そこをしっかり見るようにしています。そうすると、1行が2行、3行となっていきます。待つことも大事だと思いました。

このような取り組みを通じて、以前よりも「生物が好き」という生徒が増えました。生物が好きと言ってくれると、私も大変嬉しいです。


『WINSTEP生物』に対する生徒たちの反応

  • 自分で勉強することの楽しさがわかりました
  • 見ればすぐに内容が思い出せるような自分だけの参考書ができました
  • 章ごとに「到達点」が示してありゴールを意識して学習できました
  • カエルのキャラクターが「あと少し!」と言ってくれるのが嬉しいです(男子に好評)
  • STEP 2の例題のすぐ右ページに解説があるから学習しやすいです
  • 右段の補足がためになりました

生徒からの要望

  • 分数計算や単位の換算などは、もう少し詳しく段階を追って解説してあるとよいです
  • 分野ごとに分冊にして綴じているので、はじめから穴空きになっていると便利です

生徒どうしによる教え合い

「量」から「質」への転換

新課程になって「生物」は分量が多くなり、内容も深くなったので、この機会に生徒たちの自ら学ぶ姿勢を育てたい、と思いました。自学自習の習慣化や、生徒どうしの教え合いによる解決です。生徒たちには、「わるいけど演習まで行う十分な時間はとれないから、自分たちでできることは自分たちでやってね」と正直に言いました。

そもそも、すべてを教師が教えることなんて無理だと思ったので、発想を転換しました。たくさんのことを一方的に教え込もうとするから、なかなか定着せず、定着しないから強制的な課題を出して負荷をかける。これでは先生も生徒も疲れ切ってしまいます。思い切って、授業では本当に理解すべきエッセンスをじっくり教えて、問題集を通じた学習では生徒どうしが教え合うようにしてみてはどうか、と思ったのです。新課程になり教える量が増えて、時間が足りないという逆境が、逆に授業や生徒の学習の質を高めることになったと思っています。

今回は新課程という機会があり、そのようにせざるを得ない状況になりましたが、これからは、生徒たちが課題を見つけ出して、教え合いながら解決していくことが必要な世の中になってくるのではないでしょうか。


生徒には自分たちの言語文化がある

私たち教師の育ってきた環境・文化は、生徒たちが育ってきたときとは異なることに気づくことも大事だと思います。生徒には、生徒どうしで通じる言語文化があるのです。授業中でも、私が説明するよりも、生徒どうしで教え合う方が、よく理解できていると感じます。例えば、神経とホルモンのはたらきのところで、ある生徒は「神経がはたらくと"ボンッ!"」と身振り手振りでホルモンの作用との違いを説明しています。五感を使って教え合っています。私が同じことを説明するよりも、明らかによく通じています。「このグラフ、条件を変えたらどう変化するかなぁ」と、教え合いのなかで、いろいろな方向へ話を発展させていることもあります。質問するにしても、教えるにしても、生徒どうしで交わした言葉の方が、教師の言葉よりも理解が早いようです。

また、生徒どうしの言葉によるやり取りで、コミュニケーションの力も格段に高まり、互いに言ったことに責任をもつようになり、行動が伴うようになったと感じています。



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