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特別対談「新課程における国語の指導について」

ラーンズリポート特別対談 Vol.3「新課程における国語の指導について」 第一回

 「BRIDGE高校シリーズ」(高校学習準備教材)で行ったアンケート結果から,新課程では「大学入試がどう変わるのか」「言語活動の充実を授業にどう取り入れていくのか」について先生方の関心が強いことがわかりました。
 また,初期指導では「自主的・自律的生徒の育成」「学習スタイルの確立」「入学時の意欲の維持」について特に関心が強いことがわかりました。
 今回は,新課程における国語の指導について,広島女学院中学高等学校の那須泰先生,上宮太子中学校・高等学校の福田和憲先生に伺ったお話しをご紹介します。



第一回:新課程で留意しておくこと −入学時の意欲を維持させるには−

新課程の初期指導でのポイントとして、多くの先生が「入学時の意欲を継続させること」を挙げられていますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
広島女学院中学高等学校 那須 泰 広島女学院中学高等学校 那須 泰

那須
 このテーマについては、特に新課程だからというわけではありません。「国語は勉強しなくていい教科」という生徒たちの意識をどのように変えていくかが大切なのではないかと考えています。高校生になれば古文・漢文の予習や復習が入ってきますので、必然的に学習時間は増えますが、現代文はどうしても「読めばわかる」と思っている生徒たちが多いように感じます。ですから「現代文も(理にかなった)勉強が必要だ」と気づかせることが、生徒たちの意欲を継続させていくために重要だと考えています。

上宮太子中学校・高等学校 福田 和憲 上宮太子中学校・高等学校 福田 和憲

福田
 那須先生のおっしゃる通り、これまでも、そして新課程でも初期指導ということに関しては、私も非常に大事であるという意識があります。その中で、何のために現代文の勉強をしなければいけないのかというところを一番初めに生徒たちに授業の中で理解させることが、重要だと感じています。中学校までは教科書を読み、そのあと先生が内容について板書をする。板書を写しとって、それをテスト前に暗記すれば中間、期末試験は乗り越えられるという受け身的な授業を受けてきた生徒にとって、このような授業で得られた力が「国語力」であるかのように勘違いしたまま高校生になってしまう。しかし、大学入試という進路を考えた時、3年後に必要な国語力というものは、全くそれとは中身が違います。初見の文章に対して論理的なアクセスをしないとその問題が解けない。ここには非常に大きな差があり、この差を埋めるためには、まず生徒たちの考え方を180度転換させることで、意欲の継続につなげていくきっかけ作りが必要ではないかと感じています。

那須
 私の事例を挙げてみますね。高校1年生にとっては多少抽象度が高く、難しく感じる文章でオリジナル問題を作成し、入学後の最初の授業で生徒にいきなり解かせています。しっかり言語の論理を追えば簡単に正解を導ける問題なのですが、意外と解けません。今年担当している高1生220名の中で、正解者は6人でした。文章の論理構造を示しながら解説すると、ほとんどの生徒が正しい読みから正解にたどりつきます。しかし、指示語すら正確に把握できず、比喩表現も全くつかめていなかったことに気づくと、生徒たちは「現代文も勉強しなきゃいけない!」という意識を持ちはじめます。高校入学時のこうした意識の変化が、学習意欲を向上させ、継続的な学習意識の礎を築いていくのではないかと思っています。



中学生から高校生へ意識転換をさせるため、具体的に取り組まれていることなどありますか。


広島女学院中学高等学校 那須 泰 広島女学院中学高等学校 那須 泰

那須
 旧来の国語の授業は、教える側が「こうなんだ、ああなんだ」と一方的に解説を加えることが多いように感じています。このような状況では、どうしても「授業での板書を覚える →丸暗記して定期テストに臨む→高得点を取る=国語ができる」となってしまいます。よって、この中学時代の国語に対する考え方を根本的に変えるための具体的な取り組みが求められるのです。教科書でさまざまな文章について学習してきていても、多くの生徒が「主体的に読み解く」という経験を積んでいません。では、どうするか?先の例からも分かるように、生徒たちが「気づく」ような授業を展開していくしかないですね。
 私の勤務する学校は中高一貫校で、高校に上がった時に大学入試への意識もぐっと高まります。よって大学入試で求められる国語力と関連させた授業実践を心掛けています。先に挙げた導入授業の次に、私は実際の大学入試問題を例にとって授業を行います。大学入試センター試験や東京大学の入試問題がどのような学力を求めているかを生徒と一緒に考えます。大学入試を扱う、この4時間の授業の中で生徒たちは「なるほど!」「そうだったのか!」「今の自分でもできる!」といった思いを抱きます。中学校までの学習方法との違いに気づき、「求められている学力」が何かを知った瞬間、生徒たちの意識が変わるのです。もうひとつ大事なのは、この意識を継続させながら教科書の学習に入るということですね。教科書の学習に入った途端、従来の「丸暗記学習」になってしまったら、意味がないですからね。

上宮太子中学校・高等学校 福田 和憲 上宮太子中学校・高等学校 福田 和憲

福田
 方法論としては私も同じです。私はもう少し基礎的なところ、例えば主語と述語というところから行います。「主語と述語をこの文の中から見つけなさい」という問題に取り組ませたときにできない生徒もいます。なぜできないのか。主語は「は」とか「が」がつくのが主語だ、述語は一番最後にあるのが述語だ、といわゆる暗記による間違った国語の勉強法が頭に染み付いていることが要因の1つであるということを、生徒たちに提示することで「あっそうか、私たちは論理的に読めていない」ということに気づき、「じゃあ、論理的に読めるようにするには、どうすればいいのか」ということを積み重ねていく。勉強自体が暗記になっているようでは、大学入試には到底太刀打ちできないんだよということを伝えるようにしています。


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授業の中で意識されていることはどのようなことでしょうか。
広島女学院中学高等学校 那須 泰 広島女学院中学高等学校 那須 泰

那須
 生徒たちの教科書の内容を大切にする意識が、特に国語は低いように感じます。国語は、教科書で勉強した同じ文章が入試に出題されることはありえないので、数学のように「例題に近い問題が出題された」といった入試とのつながりを把握しにくい教科です。それゆえ、「国語は勉強の仕方が分からない」と言われたり、「国語は勉強しなくていい教科」など捉えられたりするのでしょうね。しかし、教科書の編集意図や大学入試とのつながりをしっかり説明していくことで、生徒の意識に変化をもたらすことは可能です。どの教科書も、取り上げられた文章の終わりに内容読解に関する問題が用意されています。私は、そこで問われている内容とセンター試験や東大の入試問題との関連性を示すようにしています。文部科学省の定める学習指導要領に準拠している教科書は、高校で求められる学力を培うという意図を持って編集されています。センター試験は、原則、教科書の内容から100%出題されるのですから、教科書で学習する内容と大学入試がつながらないはずはないのです。

実際の考査問題(1) 実際の考査問題(1)

那須
 そんな話をしながら、教科書の内容を学習していくと、生徒の意識は大きく変わっていきます。導入授業で2時間、センター試験で2時間、東大入試で2時間、トータル6時間の初期指導も、実は、教科書を学ぶ大切さにつながっています。その「大切さ」に生徒が気づくからこそ、生徒の学習意欲も高まる。そこを意図して、日々の授業を行っていますね。授業は、もちろん、大学入試のために行っているわけではありません。しかし、教科書と授業を大切にすることが、国語力を高め、大学入試へとつながっているという確信を生徒に持たせることが、学習習慣の確立のためには不可欠ですね。定期考査では、この初期指導の内容が理解できているかを試す問題も出題しています。サービス問題でもありますが(笑)。(実際の考査問題(1)PDF

上宮太子中学校・高等学校 福田 和憲 上宮太子中学校・高等学校 福田 和憲

福田
 私は授業の中で様々なテーマを少しずつ出していくことを心がけています。今日は主語と述語の話を、今日は具体と抽象の話をというように、テーマ別に出していくことで、生徒の目線を変え、授業を受け身にしない姿勢づくりにつながっているのではないかと考えています。国語の授業は、受け身になりがちとよく言われます。古文、漢文も含めてただ聞いているだけ、ただ写しているだけの授業にならないように、必ず私の板書は穴埋め方式で行います。教師側がすべてを書くことをせず、白のチョークと黄色のチョークで内容を変えて板書をします。白のチョークに関しては、教科書の内容を読めば、文章のつながりの中でのキーセンテンスが見えてくるように、そのキーセンテンスの読み取りから黄色の部分、黄色の部分は自分で考えないとできないという形で授業中に書く。そして、その定着を定期考査で図ります。

実際の考査問題(2) 実際の考査問題(2)

福田
 ここからここまでの教材の中で、どれかを定期考査で出題するということだけを伝えておきます。授業では論理的能力を高めるための練習に取り組んできたので、考査では問題を解くということだけではなく、解答のプロセスというものを用意(実際の考査問題(2)PDF)し「ここはこういうふうに授業で先生が言っていたなあ」というように、授業を思い出させて問題を解かせる。このような問題にすることにより「教科書はただの暗記ではないんだ、入試問題にもなりえる評論文なんだ」ということに気づかせるわけです。そうすると初見の文章、初見の問題というものに対しても、自分たちはアプローチしていけるということに気づきます。教師側が様々な手法を使いながら、生徒自身に力がついていることを実感させる。それから、毎回新しいことを与えてもらっているという感覚を持たせたうえで、今までとは違ったことに取り組んでいる、違ったアプローチをしないと、定期考査もできないじゃないかという意識を常に持たせる。このように、常に教科書を中心に刺激を与え続けることで、生徒たちの入学時の意欲というのを最後まで、理想は大学入試まで続けていければいいのではないかと考えています。


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この度は,ラーンズリポートをご覧いただきありがとうございました。
那須先生,福田先生へのメッセージをお待ちしております。また新課程に向けての取り組みやご意見等ご自由にお寄せください。
今後こんな情報発信をしてほしい等のご要望もあわせてお待ちしております。
 那須先生,福田先生へメッセージを送る

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