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大学入試共通テストの平成29年度試行調査(プレテスト)について

どう変わる? 大学入試改革 2020年

文科省 2020年 大学入試改革
2017年5月16日、文部科学省より「高大接続改革の進捗状況について」が発表され、大学入試センター試験(以下、センター試験)に代わり2020年度(平成32年度)から導入される「大学入学共通テスト(仮称)」(以下、「共通テスト」)について実施方針案が明らかになりました。
そこでラーンズ編集部では、2020年に向けて、どのように大学入試改革が進められていくのか、入試制度改革の要点や傾向をまとめ、先生方に最新の情報をお届けしてまいります。

大学入試共通テストの平成29年度試行調査(プレテスト)について

記述問題(国語,数学Ⅰ・数学A)の自己採点

大学入試共通テストの平成29年度試行調査(プレテスト)について,記述問題(国語,数学Ⅰ・数学A)の自己採点にあたって

  •  自己採点の手順の参考となる動画 【国語】
  •  自己採点の手順の参考となる動画 【数学Ⅰ・数学A】
  •  自己採点用ワークシート【国語】
  •  自己採点用ワークシート【数学Ⅰ・数学A】

が公開されました。独立行政法人大学入試センターが動画をYouTube上に公開しております。

独立行政法人大学入試センター


動画は,国語,数学Ⅰ・数学Aそれぞれについて,次のような内容で構成されています。
 1.大学入学共通テストとは何か
 2.なぜ「試行調査(プレテスト)」を実施するのか
 3.自己採点とは何か
 4.自己採点のポイントと手順
 5.自己採点のワーク
  (1~3.は国語,数学Ⅰ・数学Aで共通)


1.大学入学共通テストとは何か

動画の中では,まず,大学入学共通テストが2021年度入試から大学入学センター試験に代わって実施されるテストであることと,次のような評価を重視するテストであることが述べられています。

・高校時代の学習の成果を,大学でさらに伸ばすことができるよう,大学教育の基礎力として知識がどのような場面でも使えるものとして身についているか(知識の深い理解)

・知っていることを使って思考したり,判断したり,表現したりする力が身についているか(思考力・判断力・表現力)

なお,今回の,国語と数学Ⅰ・数学Aについては,マーク式に加えて記述式が導入され,国語の記述式問題は点数ではなく段階別の表評価が予定されていることや,国語,数学Ⅰ・数学A以外の科目については,これまで同様マーク式問題のみであるが,問題構成や内容が変わる可能性があることについて触れられています。
記述式問題の解答用紙についても紹介されています。国語は,マーク式と記述式で大問が分かれているため,解答用紙も片面に記述式,その裏面にマーク式の解答を記す形式となっています。また数学Ⅰ・数学Aは,大問内にマーク式・記述式の問題が混在するため,解答用紙も同じ面にマーク式・記述式の解答を記す形式となっています。



2.なぜ「試行調査(プレテスト)」を実施するのか

試行調査の結果を分析して,2021年1月実施の大学入学共通テストの仕組みに生かすという目的が説明されています。
新しいタイプの問題がすでに入試でも出題されつつあること,「試行調査(プレテスト)」はあくまで調査であり,本番と同じ問題構成や内容ではないことが補足されています。



3.自己採点とは何か

大学入学共通テストを受験する場合には自己採点が必要になることが説明されています。自己採点とは,自分の解答を自分で採点すること,出願校を選ぶうえでの参考として行われることなど,自己採点の目的がわかるようになっています。
以上が,国語と数学Ⅰ・数学Aで共通の内容で,自己採点のポイントと手順については,国語と数学Ⅰ・数学Aそれぞれで具体例を用いた説明とワークによって理解できるようになっています。



4.自己採点のポイントと手順【数学Ⅰ・数学A】

数学Ⅰ・数学Aの自己採点のポイントとして,次の3つが挙げられています。
(1) 自分の解答を問題冊子に残しておく
(2) 正答の条件を確認する
(3) 自己採点結果を判断する
(正答,誤答,無解答,採点不能,自分の解答不明のいずれかを判断)

正答の条件を満たすかどうかを判断する際,すべての条件を満たしていることが求められます。
なお,判断の仕方については,次のようになっています。
 正答:正答の条件を(すべて)満たしている
 誤答:正答の条件を(1つでも)満たしていない
 無解答:解答していない
 採点不能:正答の条件を満たしているかどうか判断できない
 自分の解答不明:自分の解答をメモしていない,または,覚えていない

今回の「自己採点の手順の参考になる動画」からわかることは,自己採点では,特に手順(2)の「正答の条件を確認する」ことが重要であり,自分の答案が,正答の条件をきちんと満たしているかどうかの判断が求められるようになるということです。

したがって,普段の定期テストや模試を通じて,自分の解答を問題冊子に残しておく習慣をつけることが大切になってきます。



4.自己採点のポイントと手順【国語】

国語の自己採点のポイントとして,次の3つが挙げられています。
(1) 自分の解答を問題冊子に残しておく
(2) 正答の条件を確認する
(3) どの類型にあてはまるかを判断する
(類型ア~オ,採点不能,自分の解答不明のいずれかを判断)

そのうえで,今年の5月に公表された「大学入学共通テスト」のモデル問題例の問題を用いたワークが提示されています。

ここでの正答の条件は,次の3つ。
(1)字数要件(●字以内で書いているもの)
(2)キーワード(「○○○○」について触れているもの
(3)キーワード(「△△△△」について触れているもの

これをふまえた解答類型は,次の5つ。
 ア 条件(1)~(3)のすべてを満たしている解答
 イ 条件(2),(3)を満たしている解答
 ウ 条件(1),(2)または(1),(3)を満たしている解答
 エ 上記以外の解答
 オ 無回答

ワークで提示された解答例は,正答の条件(2)・(3)とも迷うことのない明確な表現で書かれており,判断の容易な(1)と合わせ,問題なく解答類型の判断ができています。
実際の自己採点においては,自分の書いた内容が正答の条件(2)や(3)を満たすといえるのかどうか,そこの判断に迷うことが想定されますので,今回の試行調査を経て,「正答の条件」がどの程度詳細に示されるようになるかが注目されます。

自己採点を正確に行うためにも,普段の定期テストや模試を通じて,自分の解答を問題冊子に残し,すぐに復習を行う習慣をつけることが重要になります。



2017年11月28日 公開


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