【数学】研究会レポート「新高1生からの数学指導の展望と雑感」| 株式会社ラーンズ

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【数学】研究会レポート「新高1生からの数学指導の展望と雑感」

アクティブ・ラーニング 数学

【数学】研究会レポート「新高1生からの数学指導の展望と雑感」

研究会の概要
ラーンズ 研究会レポート Vol.015 アクティブ・ラーニング 数学@岡山
2018年3月27日に岡山で「2018年度高校1年生の教科指導を考える」研究会を開催しました。
2020年度の教育・入試改革では、要求される学力が大きく変化すると予想されます。2018年度の新入生が最初の入試改革に該当する学年ということもあり、新入試を見据えた指導・育成の計画に苦慮されていると伺います。
今回は、先生方の悩みの解消のヒントに少しでもお役に立てればと考え、現場の第一線で実践・研究しておられる先生をお迎えし、現状の課題の解決につながる研究会を実施させていただくことにいたしました。

研究会 テーマ
数学指導の展望
模擬授業を通して



先生のプロフィール
先生のプロフィール

水野 健太郎(みずの けんたろう)先生
大阪府私立中学校・高等学校 数学科。
大阪府の私立中学・高校で数学などを指導する傍ら、数学を自分で勉強したい高校生・大学受験生の役に立つサイト作り、また教科関係の執筆・作問などに取り組む。『実用数学技能検定 要点整理』準1級/2級 執筆協力、聖文新社『全国大学数学入試問題詳解』解答執筆など実績多数。

数学指導の展望

【数学】研究会レポート「新高1生からの数学指導の展望と雑感」

新テスト問題が出ましたが、大変ハードルが高いと感じています。
今までのテストで測れなかった「能力」についてフォーカスしたいという意図は分かりますが、数学だけでその能力が育つのかとも思いますし、国語力や地アタマ力なども必要になると思います。結局のところ、地アタマ力のいい集団とそうでない集団との差が大きくなるのではないか、余計に格差が広がるのではないかと危惧しています。

今後はアクティブ・ラーニング型の授業を1年間通してやるということが大事になりますが、ただ、それを行うとなると先生方の理解も必要となってきます。まずは、ラーンズの「Think and Quest」など活用しながら、単発の問題を行いながら始めるのもいいと考えております。

そもそも「アクティブ・ラーニング型授業」とはなんなのでしょうか?
生徒さんがワイワイ発言や議論をしたらアクティブ・ラーニング型授業なのでしょうか。実は、そういったことをしてくれと言われて、指導を行ったこともありますが、数学はアクティブ・ラーニング型授業に馴染まないのではないだろうかと、心が折れかかったときもあります。

普段の教科書を使ってアクティブ・ラーニング型授業を行えると謳う書籍も出ていますが、1学年すべてをひとりで担当するならともかく、そうでなければ隣のクラスとの兼ね合いもあり、難しいなと感じています。生徒を指名して進める授業も行いましたが、指名する生徒の資質に依存しすぎる感じがあります。

生徒によっては、質問する前に「分かりません」となってしまったりすることもあります。自分なりに振り返ってみて、今までの指導はどうだったろうと考えてみました。やはり日常の事象を取り扱ったものは興味を引けるので、それらを題材にしながら授業を進めるといいと思います。


身近な題材をどのように活用していくか

しかしながら、面白い授業を行うとなると、基本的な公式だけを使う問題になったり、数学Ⅲが必要になったりと、良い問題を作るのが難しいのです。
現在作成中の「Think and Questキミが学びを深める数学Ⅱ・B」の中では、キミが学びを深める数学I・Aと同様に問題を解くだけで終わってしまうような問いかけを避けるよう意識しています。身近な題材(ネタ)を提供するのは重要ですが、生徒から様々な数学的な見方・考え方を引き出すための指導や教材活用が最も大事だと思います。それを実現するためには、生徒同士で説明し合ったり、その考え方で本当に適切か?などの思考させる問いかけをすることが考えられます。そして、先生としての考えも出していくと面白い授業になっていくのではないでしょうか。生活の中にある題材を持ってきて、1つのネタを大事に味わっていくのが重要だと思います。

例えば「横から見たときの角度はどうなるだろう」、「縦から見る角度と横から見る角度を足したものを考えてみると、それはどれくらいの高さのとき最大になるか」、「角度2つを掛け算したらよいのでは?」など、この基準で答えを出したらこの答えだけれども、これが本当にベストといえるのだろうかと、生徒に話し合わせることが考えられます。
そして、先生としての考えも出していくと面白い授業になっていくのではないでしょうか。生活の中にある題材を持ってきて、1つのネタを大事に味わっていくのが重要だと思います。

また、生徒に議論させるのも大事ですが、前段階の問題作成のとき先生同士が授業の流れを議論・共有されてみてはどうでしょうか。その上で、授業の後も、生徒がどのように答えていたかなど、共有すると非常に有意義なものになると思います。
数学はネタが大事ですので、ネタを試せるクラスを見つけておいて、そこで試しながら段階を踏んで教材を作成していくといいと思います。


模擬授業を通して

「Think and Quest」の「ピッタリの数のプリンは買えるだろうか」という問題を行っていただきました。「3個入りと8個入りプリンを買うとき」という条件で、条件を満たす自然数の組み合わせ、その数学的な証明に取り組んでいただきました。

水野先生は、「是非、先生方には、取り組むときに自分の生徒だったら、どんなふうに解くかを考えてやってもらいたい」と仰っていました。先生方には教材に取り組んでいただき、解答をご発表頂きました。ご発表頂いた先生には、板書と口頭でご説明頂きましたが、「生徒には答案を投影機に映しながら話してもらい、同時に他の生徒さんにも解法や考えを共有してもらうといい」と仰っていました。「Think and Quest」には、ファシリテーションブックもありますので、授業を進めるときや困ったことがあるときには、こちらを是非ご参考下さいと仰っていました。


研究会の感想
ラーンズ マーケティング・営業部より
生徒に興味関心を持たせるための問題作成のコツなど、とても勉強させていただきました。水野先生の過去のうまくいかなかった経験も踏まえた上でのお話でしたので、今回のご指導の内容というのは、大変汎用性のあるものではないかとも、感じるところでした。是非、多くの先生方に教材に含まれているようなネタを試して頂きたいです。

※先生方のプロフィールは研究会当時のものです。


2018年5月28日 公開



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