国語センター試験で高得点を取る為の読解力

ラーンズ マーケティング・営業部です。
2017年9月30日(土)に大阪で「合格力を養成するセンター指導方法~国語センター試験で高得点を取る為の読解力~」と題する研究会を開催しました。
出題傾向に変化が見られ、新課程を意識した設問も見受けられるセンター試験。高得点には、限られた時間の中で速く読む力、ならびに手際よく情報を整理し、判断する力が求められます。この整理、思考、判断する読解力を養成する指導方法を考えました。 大学入試に必要な「国語力」はどこでつけるか?初見で入試レベルの問題を読み解くためには?「蓄積することの大切さ、つまり過去にどれだけの文章に触れ、血肉にしてきたかということ」をその有効性と授業の実践事例をもとに解説していただきました。
研究会 テーマ
・生徒目線に立ったご指導方法
・授業で学んだことを活用できる形で蓄積するために

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管野 泰久先生
福島県生まれ。「人の役に立ちたい」という思いのもと、早稲田大学卒業後教壇に立つ。修道中学校・修道高等学校 国語教諭。「評論文を人生に活かす」をモットーに、山陽女子中等高等学校の特別講師、子ども会会長、広島市ソフトバレー競技委員、広島市民オーケストラのステージマネージャー、教員バンドのボーカルなど、公私問わずさまざまな活動に携わっている。
生徒目線に立ったご指導方法

古典文法をラップでご指導されるという斬新な指導スタイルが、NHK「テストの花道」でも取り上げられた管野先生。このアイデアは、以前の学校で、授業を聞く姿勢のない生徒たちに対し、いかに授業に惹きつけるかをお考えになるなかで生まれたものだそうです。
常に生徒の目線に立ったご指導は、現在ご担当されている6年生(高等学校における3年生)の生徒たちとのかかわりにも表れています。
個人面談・個人添削
授業中の問題演習の時間などを用い、一人ずつ呼び出して3分ほどの面談の時間を設けていらっしゃいます。そのなかで
- 「現状把握(他者比較でなく自己比較)」
- 「自己評価の確認」
- 「次の面談までの目標」
を確認されます。自己認識が難しい生徒でも、「自分が担任だったらどういうアドバイスをするかな?」と問うと、生徒は自分に適したアドバイスを導き出すことができるそうです。 学校は携帯に関する禁止事項はなく、SNSも浸透していますが、その分面と向かって話す機会に飢えているところがあり、自ら話してくれる生徒も多いとのことでした。
また、早朝・放課後の時間を用いて、1日15人ほど個人添削をなさっています。現代文の添削には時間がかかってしまいそうですが、
- 一読して文意が伝わらないものは書き直し(「この意味わかって書いている?」と聞けば自分でもわからないまま書いていることに気づく)
- 文意が理解できるようになったら、初めて一緒に考える。その際も、模範解答と照らし合わせて遜色がないか確認する。生徒の解答の方がわかりやすければ、本文も読み、生徒の解答を吟味する。
と二段階を踏むことで、より多くの生徒に対応されているそうです。
その他、私立学校であることもあり、生徒からメールがあれば回答をするスタンスで、生徒の悩みに寄り添い気持ちを引き出していらっしゃるそうです。その信頼関係もあって、生徒たちの志望大と判定理由の推移をクラス内で公表しても、受け入れる雰囲気ができています。
授業で学んだことを活用できる形で蓄積するために

現在ご指導なさっている6年生は、1年生(中学校)からの持ち上がりで、管野先生がずっとご指導なさっています。先生のご指導方針には親しんでいらっしゃる生徒たちですが、学校方針として英語数学が優先されがちであるため、授業のなかでいかに国語の力をつけさせるか、いかに知識を蓄積させていくか、を課題としてとらえていらっしゃいました。
その解決のために「効率化」「反復と継続」を重視されており、オリジナルでご作成された「国語虎之巻」を中心に、ご指導方法をさまざまに教えてくださいました。
現代文:要約して蓄積する
論理的思考の際に必要な力のひとつとして、「共通点・相違点を見極める力」があります。比較検討の基盤となる知識を蓄積するために、「国語虎之巻」には、これまで学んだ教材のタイトルと1行で要約した一覧を設けています。
授業で学んだことを無駄にせず、新しい教材や大学の過去問題を解説する際には、「『~』で学んだ二項対立と同じ構造だよ」などと説明することで、生徒の理解を深めるそうです。
また、生徒に覚えさせるために、タイトルを複数並べ、それらに合う要旨を選択肢から選ばせる問題を、定期テストで出題されていらっしゃいます。
古典:重要語・古典文法は例文ごと覚える

管野先生は、生徒にとってどれだけ古文がわからない言葉であるかを、流行語の変遷などによって説明くださいました。30年でも言葉が様変わりする、そして国語が好きな生徒ばかりではない、そう考えると、生徒が古典に対して拒否反応をもってしまうのも頷けます。
そのなかで入試に必要な古典の力をつけるために、以下の3ステップを踏まれているそうです。
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単語を覚える
1日5語。語呂合わせでもよい。最初から複数の意味を覚えるのは難しいので、中学時代は一語一義とし、複数の意味は5年生ごろから覚えさせた。 -
文法を押さえる
日々の積み重ね。古文は中学で学んだ百人一首を無駄にしないように、「国語虎之巻」に百人一首を掲載して、重要語句の意味・文法をピックアップしている。漢文は「百聞不如一見」などのわかりやすい例文を掲載し、句法を例文ごと暗唱できるように指導する。 -
多読
ある程度単語を覚えてきたら、意味を情景描写で判断していく必要があるので、ひたすら文章に触れる。その際にわからない単語には線を引かせ、覚える契機とする。
とくに「文法を押さえる」に関しては、古文の用言や助動詞をラップで口ずさむ授業を取り入れていらっしゃいます。「ラップにすれば2分足らずで古文の重要文法を習得することができる」と、DJの実演を交えて説明くださいました。
そのうえで、学習した内容は必ず定期試験に出題することで、学習の定着も図っていらっしゃいます。

常に生徒の視点で考えていらっしゃる管野先生のご指導方法を、生徒用資料やテスト、ラップの実演を交えて教えていただき、実践に活かすヒントがたくさん詰まったご講演でした。テストやお話のなかには漫画やアニメの内容も含まれており、あらゆる場面でアンテナを張り、国語だけでなく人生における思考力も大切にしていらっしゃるご様子がうかがえました。もちろん、上記のような大学入試を見据えたご指導もさまざまに実践され、現6年生の模試判定の結果も例年よりよいとのこと、来年春の結果が待たれます。
お土産はお話だけにとどまらず、国語の知識が凝縮された「国語虎之巻」も、管野先生の使用許諾つきでいただけました。今後の制作にも活かしてまいりたいです。ありがとうございました!
※先生方のプロフィールは研究会当時のものです。
2017年11月07日 公開