日々の経験を言語化して蓄積する
ポートフォリオ型手帳の必要性
一日一日を立ち止まり、ふり返ること
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中山 芳一(なかやま よしかず)先生
岡山大学全学教育・学生支援機構 助教(教育方法学)。
初年次キャリア教育を岡山大学全1年生に提供。またコミュニケーション能力に関する授業や正課外(卒業要件に含まれない)活動支援にも注力している。
主な著書に『コミュニケーション実践入門—コミュニケーションカに磨きをかける』『大学生のためのキャリアデザインー大学生をどう生きるか』など多数。
ラーンズの『今未来手帳』は、我が国で初めて従来のスケジュール的な機能に、日々の経験を言語化して蓄積するポートフォリオ的な機能も加えました。
特に、一日一日のふり返り(省察)を行うことで、生徒たちのメタ認知力を高められるようにした点は、チャールズ・ファデル(※)らが提唱する21世紀型教育とも大きく関連づけることができます。
ときを同じくして、我が国は2017年3月に新しい学習指導要領を公示し、学びに向かう力や人間性などの獲得・向上に向けて大きな一歩を踏み出しました。
このような非認知的な能力は、上述のメタ認知力と重要な関連性があるといわれているのです※。さらに国は、こうした動向の中で個々の正課の学習及び正課外活動を記録・蓄積する「キャリア・パスポート(仮)」の導入も提起しています。これこそまさに『今未来手帳』であるといっても過言ではないでしょう。いや、一日一日のふり返りからメタ認知力の向上に着目した『今未来手帳』は、国が示す「キャリア・パスポート(仮)」以上の機能を有しているといえます。
しかし、その一方で日々の(ミクロな)ポートフォリオだけでなく、年間の(マクロな)ポートフォリオまで兼ね備えていなければ、本来の「キャリア・パスポート(仮)」にはなり得ません。
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特に年間をふり返るためのツールは、日々のふり返りとは異なった枠組みの設定や記録の方法が求められるのです。そこで、この課題に対応したのが『別冊 活動記録BOOK』となります。行事やボランティアなどの特別活動から模試の結果まで年間の学校生活をふり返りやすくするための適切かつ多様な枠組みが設定されているのが特徴的です。
『今未来手帳』は、最大の強みともいえる一日一日を立ち止まり、ふり返ることができるポートフォリオ型手帳であるとともに、1年間を俯瞰的にとらえられる手帳としても活用できるわけです。まさに、いま最も必要とされる「キャリア・パスポート」ではないでしょうか。
※
『21世紀の学習者と教育の4つの次元:知識,スキル,人間性,そしてメタ学習』
チャールズ・ファデルほか 2016年 北大路書房
2018年1月22日 公開