2020年11月21日(土)実施オンライン研究会 田中先生からのご回答| 株式会社ラーンズ

PICK UP

2020年11月21日(土)実施オンライン研究会 田中先生からのご回答


「大学入学共通テストに向けて~求められるチカラとその指導法~」で頂いたご質問への回答

先日の講演会ではご静聴頂き大変感謝しております。
講演会、それもオンラインの90分間の講演というはじめての体験であり、うまく伝えることができたのかとても心配しておりました。先生方の感想を送って頂き、拝見致しました。力づけられるコメントをたくさん頂戴し、少しほっとしているところです。受験0期の対応という面では散漫になってしまったかもしれません。ただ国語の基礎的、本質的なところの追求という結論しか思いつかないというのも本音です。それを目指して目の前の生徒さんに何ができるかを各学校、各教員が模索するしかないのではないでしょうか。質問も頂きましたので、お答え出来る範囲で回答したいと思います。

ご質問への回答

Q. 2、3年生の1週間の学習時間はどのくらいですか?

1週間の調査はしていませんが、例年の結果ですと2年生は平日2時間前後の生徒が最も多く、3年生は3時間以上(調査選択肢の上限)が大部分のようです。

Q. 学年の現代文の力がないのですが、現代文の読解力や記述力の向上のためにどんな取り組みをなさっていますか?

勤務校の生徒は英語、数学に力を注ぎ、次が古典です。
部活動、そして通学時間が片道1時間以上の生徒が多いという状況で現代文にまで時間を割ける生徒は少ないと思われます。多くの文章を読む経験を積ませたいのですが、なかなか難しいです。1年生のはじめに評論文選のテキストを渡して定期テストの範囲とはしていますが、それほど読んでいるという印象はありません。あとは現代文の授業時間しかありませんので、授業を充実させるしかないと思っています。「予習を」と言っても無理なので予習はしなくていいと言っています。講演でもお話しした、授業で(初見で)読み、考え、書く、そして評価するということを毎時間繰り返しています。特に評価では、書いた後に、数人の生徒に黒板に出て書いてもらっていますが、その前に生徒同士で話しあって、周囲の生徒の書いたものや意見を参考にできるようにしています。さらに、板書されたものを生徒同士で評価させたり、私が意見を述べたりという形を取っています。何かアイディアが浮かぶと、班別で課題を取り組ませたり、それをもとに発表してもらったりということもしています。その結果を数値化して評価することは難しいのですが、生徒に書いてもらう授業アンケートを見ると、肯定的内容が多く、また授業で寝ている生徒などもほとんどいないため(数回に1回は板書しなければならないため寝てられない・・・)ある程度うまくいっているのかとは思っています。

Q. 田中先生が、授業で、口語訳と文法解説をなさる時間と、班の話し合いをさせる時間の割合は、大体どのくらいでしょうか。参考までにお聞きしたいです。

古典の授業では、生徒に口語訳と文法説明を黒板に書いてもらって、それを私が説明していく形をとっています。あとは毎回の授業部分で、複数の解釈が可能なところや内容について問うと面白そうなところについて出題し、授業中に話し合い、解答を記述、板書してもらいます。65分のうち、はじめの復習テストが15分程度、生徒の考察、板書時間が15分程度、解説が30分程度です。あとはいろいろなことを話しています。生徒には「説教」と呼ばれています。口語訳、文法説明は生徒が書いたものを確認しながら、文法事項が訳にいかに反映されているかという点を中心に解説しています。復習テストは隣と話し合いながらの相互評価(最終的な解答は私が説明します)、また派生的な質問を投げかけての話し合いもさせています。周囲との話し合いには抵抗のない生徒たちなので、できるだけ生徒同士で考えてもらっています。班別活動は、何かアイディアが浮かんで、本文と別の資料を読ませたりするときに行っています。それだけで1コマ、場合によっては発表でもう1コマということもあったと思います。ただメインは教科書で読み進んでいく部分ですので、班別活動は単元で1回入るか入らないかくらいだと思います。

Q. 今回の趣旨とは異なりますが、中学校の評定がオール2の集団を伸ばす方法、勉強に向ける方法がありましたら教えて下さい。

もう20年以上前の若い頃の実践なので参考にならないかもしれませんし、今できるかといえば自信は全くありませんが・・・。50分間座らせるのがなかなか大変な学校にいました。「恐い先生」ではない私に何ができるかと考えたときに、楽しませる、ためになる、と思わせるしかないと考えました。まず授業のはじめに毎回私のお話。楽しいだけではなく将来に役立つような話題でお話。教材は、教科書は大部分が厳しいので、自分で作りました。小学校から勉強ができないと傷ついてきた生徒たちでしたので、彼らのプライドを傷つけないことにも気をつけました。読んで感動できればプラスになると思い、例えば「走れメロス」の主要な部分をパソコンで打って、物語全体がわかるような続きものの教材を作ったりしました。教科書以上の文字数ですが、物語性のあるものは読めてしまいます。たまに1コマ、クイズプリントなどもやりました。時事問題や国語の知識、など様々な問を入れた○×中心のクイズプリント。たくさんの単文を読むとともに、知らなかった知識が学べるのでかなり楽しかったようです。就職希望者が大部分でしたので、知識は非常に重要でした。試験は、他教科の先生から「うちでよくできるね」と言われるような、普通の長文読解と選択、記述の試験を出しましたが、みんなついてきてくれました。先生方みんなで頑張っていましたので、大変でしたが楽しい思い出です。

Q. 古典の授業で、共通テストを意識している点は何でしょうか?

共通テストの古典は、はたしてプレテスト並なのか、蓋を開けてみないとわかりません。ただ、資料が複数になっても、読解して内容をつかむことにはかわりはないと思います。その意味で、やはり基本的な読解の力の育成しかないと思います。あとは、複数資料で出題された場合の、資料を結びつける考察力、判断力でしょうか。それを主眼にしている、というよりも面白いからやっているのですが、教科書本文に関連する資料を読ませたり、便覧や図版を見せたりということは心がけています。博物館が好きなので(最近行けてませんが)、そこで買ってきた図版などは重宝しています。

Q. 学年主任の先生の通信の例が見れたりしますでしょうか?

大宮高校HPでは保護者しかアクセスできないところに入っているので、一般には見られません。ご参考までに、追加資料として第一号と最新号をご覧ください。

氷川の森だより 第一号(2018年4月10日)

氷川の森だより 最新号(2018年4月10日)

Q. 本校国語科では、他社ですが論理エンジンOS1を国語総合で使用しています。主語、述語の確認から実施しております。さらには、リーディングスキルテストを行い、読解力を数値化し、自分の読解力を客観的に知る所からはじめております。何か他にありましたら是非教えて下さい。

サイトで論理エンジンを見てみました。恥ずかしながら、私は先進的なことはなにもできていません。2つ目の回答でも挙げましたが、読んで、書くということを中心にしたオーソドックスなことしかやっていません。その中でここ6、7年、生徒同士の話し合いを意識しています。かなりハイレベルな生徒を前にしていますので、生徒同士の話し合いから生まれる気づきや理解の方が、私の教えることよりも有益であることが多いと思っています。私も授業のために必死にやってきて、その蓄積もできてきたのでなんとかなっている実感はあります。でも、生徒自身が、読めた、わかったという実感を持った方が楽しいし、彼らの将来につながるのではないか、と常々考えています。そこをどうするか、方法論は難しいのですが、日々授業の中で模索しています。いきなり授業中の思いつきでやった話し合いがうまくいくこともありますし、そうでないことも多々あります。計画しても全くだめなことも。クラスによっても違います。日々勉強です。

さいごに

頂いた感想の中で、勤務時間にできているのかというお話しを読みました。
結論から申しますと、勤務時間外も、家でも仕事をしていますし、働き過ぎだとも思います。はじめて教員になった厚岸潮見高校時代から、時間外にも仕事をするのが当たり前という風潮の中で教員を続けてきてしまい、慣れてしまっています。働き方改革に逆行しているという実感もあります。ただ、研究をしたくて一度教員を辞めたことを思い出すと、面白い入試問題を解いたり(必要に駆られてですが)、様々な本を読んだりと、楽しいことができているので、あまり苦にはなっていないというのが本音です。だからといって、だれもが同じような状況であるはずはありません。私は子どもも大学生と高校生で、今は子育てにそれほど時間を取られることはありませんし、家族には好きにやらせてもらって感謝しかありません。でも、皆がそうではないです。可能な中でできることをやればいいのだと思います。そのための便利な教材、IT機器なのだと思います。みんなで助け合いながら、アイディアを出し合いながら仕事ができる職場だといいですね。学年主任として、そういう学年団を作れたらいいな、と思ってきました。私は何も気がつかず、能力不足なので、みんながやってくれています。非常にありがたいです。

埼玉県立大宮高等学校 田中 淳一