2025年「新課程」共通テスト 出題教科・科目について

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2025年「新課程」共通テスト 出題教科・科目について
2022年度からの高等学校新学習指導要領に対応した共通テストの出題教科・科目の検討案が2020年10月末に示され、今般、一定の結論を得たものとして大学入試センターから具体的な出題教科・科目が示されました。あわせて、「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報」のサンプル問題も公表されました。出題教科・科目に関するまとめと、サンプル問題の分析をお届けいたします。

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2025年共通テストのトピックス

  1. 出題教科に「情報」が新設される。なお、専門学科の科目「簿記・会計」、「情報関係基礎」は出題されない。
  2. 出題科目のスリム化が行われる。例えば、「物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎」は、従前の「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」の4科目をまとめて1科目として出題される。
  3. 各大学の共通テストの出題教科・科目の利用方法によっては、地理・歴史・公民の3つを課すことも可能になる。
  4. 2025年の共通テストは紙で行われる。なお、CBTに関する調査研究は引き続き行われる。
  5. 2025年の共通テストでは、出題する教科・科目の内容に応じて、旧課程履修者に対する配慮から必要な措置がとられる。

具体的な出題教科・科目

国語

出題科目は「国語」1科目。
出題範囲は「現代の国語」と「言語文化」の内容で、近代以降の文章(論理的な文章、実用的な文章、文学的な文章)と古典(古文、漢文)を扱う。

地理歴史・公民

地理歴史の出題科目は、「地理総合、地理探究」、「歴史総合、日本史探究」、「歴史総合、世界史探究」の3科目。
公民の出題科目は、「公共、倫理」、「公共、政治・経済」の2科目。
地理歴史と公民を組み合わせた科目として、「地理総合、歴史総合、公共」の1科目。


※出題科目の選択方法は以下のとおり。地理歴史および公民で一つの試験時間帯とし、上記6科目から最大2科目を選択。
※「地理総合、歴史総合、公共」は、いずれか2科目の内容の問題を選択解答。
※ただし、「公共、倫理」と「公共、政治・経済」の組合せは選択できない。
※また、「地理総合、歴史総合、公共」で選択解答した科目と同一名称を含む科目の組合せを選択することはできない。例えば、「地理総合、歴史総合、公共」で「地理総合」と「公共」の問題を選択解答した場合、「地理総合、地理探究」、「公共、倫理」および「公共、政治・経済」を選択できない。

数学

出題科目は、「数学Ⅰ、数学A」、「数学Ⅰ」、「数学Ⅱ、数学B、数学C」の3科目。


※「数学Ⅰ、数学A」のうち、「数学A」については、2項目の内容(図形の性質、場合の数と確率)に対応した出題とし、全てを解答。
※「数学Ⅱ、数学B、数学C」のうち、「数学B」については、2項目の内容(数列、統計的な推測)、 「数学C」については、 2項目の内容(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)に対応した出題とし、このうち3項目の内容の問題を選択解答。
※出題科目を次の2つのグループに分け、それぞれ別の試験時間帯とし、グループ(1)においては以下のうちの1科目を選択させる。
 グループ(1):「数学Ⅰ、数学A」、「数学Ⅰ」
 グループ(2):「数学Ⅱ、数学B、数学C」

理科

出題科目は、「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」、「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の5科目。
「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」の出題範囲は、「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」の内容。
「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の出題範囲は、それぞれ「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の内容。


※「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」は、「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち、いずれか2科目の問題を選択解答。
※出題科目の選択方法については以下のとおりとし、理科で一つの試験時間帯とする。
 A:「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」において2科目の問題を選択
 B:「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の4科目から1科目を選択
 C:「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」において2科目の問題を選択、並びに「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の4科目から1科目を選択
 D:「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の4科目から2科目を選択

外国語

出題科目は、「英語」、「ドイツ語」、「フランス語」、「中国語」、「韓国語」の5科目。
「英語」の出題範囲は、「英語コミュニケーションⅠ」、「英語コミュニケーションⅡ」、「論理・表現Ⅰ」の内容。


※「英語」の試験形態は、引き続き、問題冊子、マークシート式解答用紙及びICプレーヤーを使用して実施する方式とする。なお、ICプレーヤーを使用して実施する試験は「英語」で、別の試験時間帯で実施。
 ⇒ 引き続き、「英語(リスニング)」が実施される模様。
※「ドイツ語」、「フランス語」、「中国語」、「韓国語」は受験者数が極めて少ないなどの課題から、将来的には出題について検討。

情報

出題科目は、「情報」の1科目。
出題範囲は、「情報Ⅰ」の内容。
また、「情報」で一つの試験時間帯とする。

専門学科に関する科目

「簿記・会計」、「情報関係基礎」については、出題しない。

今後の予定

  • 今後、文部科学省において、今般の結論を踏まえ、高校および大学関係者等の協議を経て、令和7年度大学入学共通テストの出題教科・科目が決定される。
  • 現在、文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」において、大学入学共通テストと各大学の個別入試との関係、記述式問題の導入、英語4技能の評価等について議論されており、今後、当該会議の検討結果を踏まえ、必要な対応が行われる。
     ⇒ 2021年4月2日の検討会議では、共通テストでの記述式問題の導入を断念すべきだとの方針でまとまった。
  • 今後、大学入試センターで、新学習指導要領に対応した出題教科・科目についての問題作成や実施方法等の具体的事項を検討。また、各教科・科目の試験時間や配点、全体の試験時間割などについては、現行の大学入学共通テストとの継続性も勘案しつつ、試験実施上の負担も考慮して定める。

共通テストに参加する各大学へのはたらきかけ

  • 新学習指導要領により学ぶ高校生が安心して進路を決定できるよう、大学入学共通テストの出題教科・科目の利用方法や、大学が実施する個別学力検査についての情報提供について、例年に比して前倒しして行うよう、大学入試センターとして協力を求める。

サンプル問題

歴史総合

問題の特徴

  1. 生徒が、資料をもとに「問い」を追及するという設定で展開されている。
  2. 日本と世界の資料を用いた考察が求められ、中学歴史の知識に加えて、概念的な理解の獲得が求められる。
  3. 個々の歴史事象の暗記ではなく、大局的に歴史を捉える力が求められる。

大問構成

第1問:テーマ「東西冷戦とはどのような対立だったのか」
<出題内容>
冷戦構造の理解/「自由」の解釈/冷戦期の日本と世界/地域紛争と日本/第二次世界大戦後の各国の経済と背景
<学習指導要領との対応>
D グローバル化と私たち

第2問:テーマ「世界の諸地域における近代化の過程」
<出題内容>
A ミドハト憲法と大日本帝国憲法の比較/清の欽定憲法大綱と、ミドハト憲法・大日本帝国憲法の比較
B ドイツと日本の教育/日本の義務教育制度/授業の主題と、主題を追及するための資料
<学習指導要領との対応>
B 近代化と私たち

今後の指導に向けて

歴史総合では、世界と日本の歴史を関連付け、資料をもとに概念的な理解に到達することが求められる。具体と抽象を行き来しながら、大きな視点で歴史を捉えられる力を身につけさせたい。

地理総合

問題の特徴

  1. 資料をもとに生徒が話し合って解決策を導く過程が設問として展開されている。
  2. グラフ、統計表、主題図、写真、文献など多くの種類が用いられ、GISの活用を含めて、正しく資料を読み取り、考察する力が問われている。
  3. 地理的根拠をもって解決策を考察する論理的思考力が重視されている。

大問構成

第1問:テーマ「世界の人口に関する問題」
<出題内容>
人口の推移の地域性/人口推移の要因/5歳未満児の死亡率を下げる解決策
<学習指導要領との対応>
B 国際理解と国際協力

第2問:テーマ「自然災害に対する備えと復興のあり方」
<出題内容>
水害の規模・頻度、対応の変化/自然災害時の行動とその根拠/自然災害の再来に備えた復興
<学習指導要領との対応>
C 持続可能な地域づくりと私たち

第3問:テーマ「『平成の大合併』による地域の変容」
<出題内容>
規則性・法則性の把握/地理院地図の読図/地域の変化の考察/地域構造の変化と商業施設の立地/アクセス問題の解決策/成果と課題
<学習指導要領との対応>
C 現代世界におけるこれからの日本の国土像

今後の指導に向けて

3大問とも授業や課外活動の場面設定で、そのような授業が望まれる。教科書にある内容を覚えるのではなく、掲載されている資料をもとに「なぜか」を問いかけることで、背景・要因を考えさせ、地理的根拠のある論理的思考力を養いたい。

公共

問題の特徴

  1. 様々な立場から多面的・多角的に考察する力が求められている。
  2. 多様な資料の読解に基づいて考察する必要がある。
  3. 探究活動など生徒の学習場面を題材とした出題。

大問構成

第1問:テーマ「食品ロスの問題を題材とした課題追及の学習」
<出題内容>
道元の思想/エシカル消費/私法/幸福に関する思想
<学習指導要領との対応>
A 公共の扉

第2問:テーマ「政治参加」
<出題内容>
選挙制度の歴史/自由についての思想/合意形成の在り方/財政
<学習指導要領との対応>
B 自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち

第3問:テーマ「SDGsを題材とした探究活動」
<出題内容>
水資源について/貧困について/経済状況と教育について
<学習指導要領との対応>
C 持続可能な社会づくりの主体となる私たち

今後の指導に向けて

多面的・多角的に考察する力を身につけるために、現実の社会と同じように、異なる立場・意見の人と協働し、合意形成するような学習が求められる。

情報

問題の特徴

  1. 教科書の基礎知識を基に、データを分析・活用する力が問われている。
  2. デジタル社会での情報の重要性が伝わる、身近なテーマが扱われている。
  3. プログラム言語は、独自の日本語表記の疑似言語を使用。
  4. 生徒が主体的に探究する場面を通し、課題解決に向けた考察力が問われている。

大問構成

第1問:テーマ「情報技術の仕組み、情報社会の課題」
<出題内容>
災害時の通信など身近なテーマを題材に、情報技術の利点や課題の理解、情報を表現する力などを問う。

第2問:テーマ「アルゴリズムの理解とプログラミング」
<出題内容>
比例代表選挙の当選者数を決めるプログラム処理。アルゴリズムを理解し、課題解決に向けプログラムを作成・修正する力を問う。

第3問:テーマ「データの活用に関する理解と考察」
<出題内容>
サッカーワールドカップのデータを用いて、散布図からデータ間の相関、基本的な統計量から傾向を読み取り、考察する力を問う。

今後の指導に向けて

教科書の基礎知識を基に、身近なテーマでデータを用いて、課題解決に向け主体的に考察する力が求められる。日頃から身近にある課題を意識し、授業でも実践的なデータを積極的に扱い、様々なデータの分析や活用に慣れておくことが必要になる。

2021年4月6日 公開