研究会レポート(数学)『2023大学入学共通テストに求められるチカラとは』

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2022年7月2日(土)開催 研究会レポート(数学)
『2023大学入学共通テストに求められるチカラとは』

2022年7月2日(土)、名城大学 教職センター教授・竹内 英人先生をお招きし、オンラインにて「2023大学入学共通テストに求められるチカラとは」を開催いたしました。ご講演の内容をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

竹内 英人先生
名城大学 数学教育研究分野。
現在は、名城大学 教職センター教授(元愛知県公立高校教員)として、将来、中学校、高校の数学の教員を目指す学生を指導している。新入試(テスト)に向けた数学指導やアクティブラーニングについて研究・実践指導を行う。 また、学校、塾、予備校、企業の垣根を取り払った勉強会を定期的に開催しつつ、全国の高校や塾、予備校に出前授業や教員研修を行っている。著書は「重要問題演習」(ベネッセコーポレーション)、「キミが学びを深める 数学Ⅱ・B」(ベネッセコーポレーション)、中学校・高等学校数学検定教科書、「 フォーカスゴールド」( 啓林館)など多数執筆。

研究会

研究会 2023大学入学共通テストに求められるチカラとは
~大学入学共通テストの振り返りと指導事例のご講演~
講師 名城大学 数学教育研究分野 竹内 英人
日時 2022年7月2日(土)14:00~16:00
対象 2023大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

・振り返りと第3回共通テストの予想・指導概要
・共通テスト数学3つのキーワード
・3つの力を育てる指導について
・具体的な共通テスト問題指導例
・竹内先生メッセージ ~自学自習の種まきを~

振り返りと第3回共通テストの予想・指導概要

量が削減されても、第2回で点数の取れる指導を目指す

第2回の大学入学共通テスト数学は大幅に難化しました。これまでのおおむねの平均点が第1回は60点、第2回40点で、第3回は50点を目指してくるのではないかと竹内先生には予想していただきました。内容については、第2回より少し優しくなるとの予想ですが、先生方には今回(第2回)の共通テストで7~8割取れる指導をしていただきたいとお話しされました。

また、問題文量と作業量については、大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書を読み、削減される方向ではないかとお感じになられたそうです。

難問より標準的な問題をじっくり

「第2回の共通テストで点数の取れる指導」と言っても、竹内先生は難しい問題を多く演習することはお勧めされませんでした。難しい問題よりも、標準的な問題をじっくりやらせる方針で指導したほうが良いとお伝えいただきました。

竹内先生は、ベネッセコーポレーションの『2023共通テスト対策【実力養成】重要問題演習 数学』の執筆にも携わっていただいていますが、そこではあえて難問だけの対策にされなかったそうです。今後の共通テストの問題は、優しくなるのではなく、標準で深い学びの問題になるだろうというお考えから、生徒の自信をなくさせず、解説でより深い学び、広がりのある問題を作成したとお伝えいただきました。

共通テスト数学3つのキーワード

共通テスト数学の3つのキーワードは今後も続くとお感じになっているそうです。3つのキーワードとは、以前の研究会でもお伝えした『3つの【ゆう】=誘導、融合、有名』です。

まず、誘導に乗る力と乗らない力が必要になるとのこと。共通テストでは、まともに誘導に乗ると間違いに嵌ってしまう問題が目についたそうです。必要のない誘導に乗らないようにするには、一つの問題に対して多様な考え方が大切になるとお伝えいただきました。

融合は、色々な方式で各分野の問題がセットになって出題されるということです。有名は有名問題のことで、今後も有名問題はヒントを入れながら、よく出題されるだろうと竹内先生に予想していただきました。

3つの力を育てる指導について

数学で求められる「思考力、判断力、表現力」の3つの力を育てる指導について、お伝えいただきました。

まず、基礎・基本の徹底だと竹内先生はお感じになられているそうです。共通テストだからといって特別にやることはなく、今まで以上に基礎・基本を教えることだそうです。正しく公式・定理の証明、定義の確認ができているかがポイントになってくるそうです。

また、「How型」指導から「Why型」指導への切り替え、誤答や解説から学ぶ指導も大事です。いかに自学自習で力をつけるかを考えていただきたいとお伝えいただきました。

具体的な共通テスト問題指導例

竹内先生は、どこで生徒が躓くのかを考えた上で、答えをこちらから教えるのではなく、生徒の口から答えを言わせるように工夫した発問が大事だとお感じになられているそうです。

答えから何を学ぶか、ということも大切なので、共通テスト対策では演習の「あと」が一番大事です。誤答・他の考え方など、演習で学んだことを活用し、できる限り数学を使って遊んでいただきたいとお伝えいただきました。

研究会内ではそのようなお話しもされながら、具体的な問題指導例をご紹介いただきました。

具体的な問題指導例につきましては動画および資料をご覧ください。

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竹内先生メッセージ ~自学自習の種まきを~

『繰り返しになりますが、共通テストの難易度は過去2回分の中間程度にあわせてくると感じています。ただ、指導は安易に簡単なものにしないで、第2回のものにあわせてください。そして、むやみやたらに難しい問題をせずに、じっくり標準問題を解き、深い学びにしてほしいと思います。共通テスト対策は自学自習が基本です。生徒が自学自習できるようになる種まきを秋までにできればいいですね』と竹内先生は熱いエールを送られました。

質疑応答

参加された先生方からお寄せいただいた質問に時間の許す限り答えていただきました。

Q. 数学における生徒の読解力向上のための指導方法を教えてください

今回は先生方から、長文読解力、どのように時間内に解いていくかという質問が多く寄せられました。これからも長文が出題される傾向は変わらないでしょう。生徒に聞いてみると、返り読みをしてしまった子が多かったように思います。焦って早く読まず、じっくり一回の読みで解答できるようにしたいですね。

長文の共通テスト問題集を要約し、5分でポイントをまとめてみましょう。そのトレーニングの繰り返しは効果があります。

初めての長文にとまどってしまう生徒は、ステップを踏んで取り組むといいでしょう。「中学入試(私立)」「私立高校入試」「県立独自入試」などを解くことで長文に慣れることもできます。今は、長文や新傾向の問題に関しての問題集もあるので、一日一問などと決めて取り組むのもいいと思います。

Q. 問題文の長文化やデータ分析におけるデータの煩雑さなどに対して、平常からどのように指導するのが日常学習にも受験にも効果的でしょうか

基本的なことでは定義の意味、定理の証明の根本的な理解をしていないといけないでしょう。データの分析は知識の丸暗記でもできますが、共通テストでは差がつきやすい部分ですので、授業でデータを見極める視点を指導してほしいと思います。

長文については先ほどの解答を参考にしてください。有名問題の中で、日常生活で先生が思いつくようなものは押さえておくといいのではないでしょうか。

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2022年 7月 2日 開催
2022年 8月22日 公開

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