研究会レポート(英語)『2024 大学入学共通テストに求められるチカラとは』

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2023年1月28日 開催 研究会レポート(英語)
『2023大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例』

2023年1月28日(土)、島根県立松江北高等学校講師、米子東高校「勝田ヶ丘志学館」講師・八幡 成人先生をお招きし、オンラインにて「2024大学入学共通テストに求められるチカラとは」を開催いたしました。ご講演をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

八幡 成人先生
島根県立松江北高等学校・鳥取県立米子東高等学校「勝田ヶ丘志学館」。
英語教師として島根県公立高等学校に39年間にわたり勤務。2015年3月、島根県立松江北高等学校に10年間勤務したのを最後に退職。在任中は、朝は6時半に登校し、図書館で生徒と一緒に勉強に励む。 「ABC」(当たり前のことをバカになってちゃんとやる)、「散歩のついでに富士山に登った人はいない」、「やりっ放しにしない」を大切にしながら指導に取り組む。 『ライトハウス英和辞典』『ルミナス英和辞典』(研究社)の編集委員を務める。現在は、島根県立松江北高等学校講師、米子東高校「志学館」講師。

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研究会 2024大学入学共通テストに求められるチカラとは
~2023大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例のご講演~
講師 島根県立松江北高等学校・鳥取県立米子東高等学校「勝田ヶ丘志学館」 八幡 成人
日時 2023年1月28日(土)14:00~16:00
対象 2024大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

・2023年共通テストの分析
・2024年共通テストへ向けて
・指導で注意したいことと今後の展望
・質疑応答

2023年共通テストの分析

語数の増加傾向は続き、推測を求める問題も増えた

まず、今年の共通テストは読みづらかったという印象で、本文に書いていない推測を求める問題が増え、難化しました。短時間で多くの情報を処理する速読・即解能力も求められていました。総語数もセンター試験時代は設問を含むと3000語程度でしたが、共通テストでは5000~6000語と約2倍になっています。語数の増加傾向については、このまま続くのではないかと考えています。

事実と意見を区別する問題は残り、ネットなど、身のまわりにあふれている情報を正しく読み取る力をつけてほしいという出題の意図を感じました。また、ほぼすべての問題に視覚情報が添えられていました。問題のパターン化を避けようとしているとも感じ、ありとあらゆる種類の英文が出題されていました。

大事なのは「今すぐやる、必ずやる、できるまでやる」の徹底

問題形式に大きな変更はなかったのですが、英語を読む体力が求められていると感じました。対策として、多読・精読をやることですが、なにより下支えになる読書が大事だと思います。生徒たちには、「当たり前のことをバカになってちゃんとやる」ように伝えています。「今すぐやる、必ずやる、できるまでやる」を徹底することが大事です。

2024年共通テストへ向けて

まず、教員は生徒がどこでつまずいているか、悩んでいる点を把握しなければなりません。生徒の6大悩みと、私が行っている対策をご紹介します。

悩み(1)最後の問題(第6問)までたどりつけない
最後までたどりつけない主な原因は、語彙力不足、文法力不足、形式への慣れ不足、時間配分意識の希薄さです。精読の力をつけることが速読への近道なので、2年生では時間無制限で確実に理解することから始め、形式・時間に慣れるようにしています。最後の問題まで時間内で解けるようになる安易なコツはなく、コツコツと指導していくしかありません。

悩み(2)単語が覚えられない
英語学習において単語は非常に大事ですので、納得できる経験をし、丸暗記にならないよう習得させます。私は単語テストを口頭で実施していますが、音声の確認ができ、単語数を稼げ、時間もかからず、盛り上がります。多義語には要注意で、接頭辞と接尾辞などから意味のつながりを理解することが大事です。

悩み(3)点数がとれない
共通テストでは、正解の選択肢は「たくみな言い換え」であり、誤りは「スリ替え」か「記述なし」が多いです。スリ替えのなかでも、前半は合っていて後半が間違っている「たんこぶ型」には注意が必要です。おすすめは見直しノートの作成です。自分がどこでつまずいたかの言語化をし、覚えておくべき事項、復習すべきポイントを確認します。自分の苦手分野がつかめたら徹底演習を行います。

悩み(4)共通テスト特有の問題が苦手
複数解答の問題、時系列に並べる問題は選択肢を先読みします。事実と意見の区別問題については、10人に聞いて答えが割れるものが意見、10人全員一緒なのが事実です。要約タイトル付け問題は、第一段落と最終段落がヒントになります。今回のテストで増加した「推測を要する問題」は直接的に述べられておらず、英文の文脈を含めて判断が求められるため難しいと感じる生徒もいますが、まずは本文を読むこと、そして『重要問題演習』の別冊付録『Navigator&Check』などで解き方を把握しておくことも大事です。

悩み(5)リスニングが苦手
3原則は「知らない単語は聞こえない、読めない単語は聞こえない、読めない英文は聞こえない」です。問題を解く際は先に設問・選択肢に目を通しておくこともポイントです。リスニングが苦手な生徒の共通点として、「語彙力不足、絶対量不足、集中力不足」があります。また、体力や集中力の面でも、共通テスト本番と同じ遅い時間帯にリスニングを解くこともよいと思います。

悩み(6)英作文が苦手(二次対策)
差がつく英作文の基本は「KISS(Keep it short and simple)の法則」です。英語の文章は短く簡潔にし、難しい単語は使わないようにします。OREO(Opinion、Reason、Example、Opinion)を意識して組み立てるように伝えています。生徒には、英作文の添削答案をただ読むだけではなく、書かれたコメントや訂正を反省し、もう一度書き直して完成度を高めるように指導しています。

指導で注意したいことと今後の展望

注意すべきポイント

テキストは徹底的に反復し、使いまわします。私は共通テスト対策教材は、『重要問題演習』と『直前演習』の2冊を使用しています。『重要問題演習』で解き方を教えたうえで、『直前演習』で実践演習をしています。また、間違ったものは徹底的に繰り返しています。模試も必ず見直し、もう一度解いてみます。英語は復習で力がつきます。敗因を分析しておくことが大切です。

「練習は本番のように、本番は練習のように」と生徒たちに伝えています。練習でできないことは本番でもできません。高い志望校も大きな原動力になります。また、正確に英文を読むためには基本的英文法の知識も必要です。話題としては「SDGs」と「Society5.0」は押さえておきたいですね。

自己採点にも注意が必要です。自己採点を間違える理由は、「正しい手順を踏まない、点検を複数回しない、返却時に点検しない」の3つだけです。来年に向けて、追試と評価委員会報告書の二つについては、絶対に目を通しておきたいですね。

2025年 新課程共通テスト 試作問題と今後

新課程共通テストの試作問題については、ライティング能力を書かずに測定しようとしている問題ではないかと感じました。文と文との意味の論理関係を正しく理解し、表現することが大事です。

最後に、生徒の疑問にはすぐに答えられるように教員も勉強することを心がけたいです。生徒は教員の力以上には伸びません。高い目標達成にはそれだけの準備が必要です。英語は絶対に裏切らない。お互いに頑張っていきましょう。

質疑応答

Q.
授業で演習後解説を行う際、限られた時間で指導するにはどうすればよいでしょうか。
A.
生徒がつまずくポイントに絞って丁寧に教えると良いと思います。そのためには、日ごろから生徒がつまずくポイントを吸収していくことも大事ですね。時間が足りないならまとめプリントを使うのも手だと思います。
Q.
リーディングのWPMが向上しても、間違えてしまう生徒について、どう指導すればよいでしょうか。
A.
WPMも大事ですが、本文と選択肢のつながりが見抜けていない生徒が多いのではないでしょうか。いかに巧妙に言い換えをしているかを生徒に実感させてあげたいですね。実感が持てるとコツをつかんで解けるようになると思います。
Q.
共通テストになってリスニングで変わった点、指導を教えてください。
A.
簡単な大問は2回読みで、難しい大問は1回読みというのが共通テストです。点数がとれないのは後半です。テキストを使い、丁寧にスクリプトの読み込みをするといいでしょう。また、センターの過去問を一回読みで聞かせてみるのもよいと思います。

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2023年 1月28日 開催
2023年 2月28日 公開

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