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「アクティブ・ラーニング」=「主体的・協働的な学び」を学ぶ Vol.1

ラーンズ社員の入試改革対応力を磨く勉強会

「アクティブ・ラーニング」=「主体的・協働的な学び」を学ぶ Vol.1

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「アクティブ・ラーニング」=「主体的・協働的な学び」を学ぶ Vol.1

 2015年秋、入試改革に向けてのラーンズの社内勉強会を行いました。講師には、現在、岡山県立和気閑谷高等学校の校長先生でいらっしゃり、また高大接続システム改革会議の委員として、高校現場の声を届ける貴重な存在としてご活躍中の香山真一先生にお越しいただきました。

講師紹介
香山 真一先生。
岡山県立和気閑谷高校校長。岡山県立操山高校教諭などを経て2013年度より現職。


「主体的・協働的な学び」とは

「アクティブ・ラーニング」=「主体的・協働的な学び」を学ぶ Vol.1

本日のお話のタイトルは、「主体的・協働的な学びを目指して〜協働の原理と探究のプロセス」です。主体的・協働的という表現は、昨年12月22日に出た文科省の中教審の答申の中の表現です。アクティブ・ラーニングは「いわゆるアクティブ・ラーニング」と表現されていますが、それを日本語訳する時には、「主体的・協働的な学び」と言われています。副題の方の「協同の原理と探究のプロセス」というのは、これは私の見解で、主体的・協働的な学びを目指そうと思ったら、協同の原理を学ばせる、そして探究のプロセスを学ばせるという、その二つがとても重要だと考えているからです。

さて、まずはこの「主体的・協働的な」という言葉について。
文科省は学校教育法の改正を平成19年に行っていまして、平成19年に「学力の3要素」を出しました。同じ平成19年に全国学力・学習状況調査が小中で始まっているわけです。小中では、A問題・B問題という形で苦労しながら少しずつ変容が見られる。ところが、高等学校や大学ではなかなか学力の3要素が満たされていない。特にここに示されている「思考力・判断力・表現力」というのが、学力の2つ目の要素。それから「主体性をもって多様な人々と協働する態度」あるいは意欲、そういったものが学力の3つ目の要素。1つ目の要素はもちろん「知識」ですが、高等学校、大学では2つ目、3つ目の要素が育成されてないという、そういう認識のもとに、それらを育成するためにアクティブ・ラーニングだと、こういう文脈で高大接続システム改革が、今性急になされようとしているということです。三位一体というのは、高等教育、大学教育、大学入試の改革です。

次に「きょうどう」という言葉ですが、これはいろいろ議論がありますが、私としてはアクティブ・ラーニングで使われている「きょうどう」は、「コーポレーション=協同」として捉えています。ただ「一緒に」という意味の「共同」に対し、「力を合わせる」ニュアンスがあるのは「協同(コーポレーション)」と「協働(コラボレーション)」。「協同(コーポレーション)」と「協働(コラボレーション)」とでは、「協働」(コラボレーション)が官民協働というように、自立した主体が力を合わせるというニュアンスを持つのに対して、「協同(コーポレーション)」は、力の足りない者同士が助け合って力を合わせ一つの課題を解決するんだ、そういうニュアンスがある。その点で、原理としては、「協同(コーポレーション)」で考えた方が自律の程度の多様性が担保されていていいかなということで、それを前提に話をさせていただきます。


今なぜ「主体的・協働的な学び」か

「アクティブ・ラーニング」=「主体的・協同的な学び」を学ぶ Vol.1

はじめに、なぜ主体的・協働的な学びが必要なのかについてお話していきます。


<理由その1>グローバルな時代
一つには、グローバルな視点で政治や経済における国家間の関係をみても、簡単には割り切れない、従来型の授業・学習では克服・解決できないことがあるんじゃないかという、そういう観点があります。
OECDはそこを明確にするために、1997年から2003年、デセコ(DeSeCoプロジェクト)を立ち上げた。デセコとは、Definition and Selection of Competencies。(コンピテンシーの定義と選択)。そこでキー・コンピテンシーとして3つ上げたわけなんですが、1つ目は「相互作用的に道具(=言語だったりITだったり、そういったもの)を用いる」能力。PISA学習到達度調査はこの数値化できる能力の一部を測っているものです。そして「異質な集団で交流する」能力、「自律的に活動する」能力。この3つの能力が社会では必要というふうに、OECDがとらえているんですが、2003年あたりから各国の教育がこれを見て大きく様変わりしていきます。
ところが日本は、ご存じのように、「阿吽の呼吸」とか「察する力」とか、「背中を見て働く」という文化があって、言語化しないものをよしとするような美意識がありますので、なかなか大変な、ダブルスタンダードのようなものがあるわけですね。しかし、改革をやらなきゃいけない、という状況に今置かれている。OECDのシュライヒャー氏はこんなふうに日本人を見ています。「言われたことは忠実にやるが、提案力に欠ける」「手本がある仕事ならば得意だが前例がないと二の足を踏む」「異質な人々との協働は怖がる」。このように一般化して見られているということですね。日本の学習指導要領はこれを受けて、学力の3要素が出てきて、合わせて言語活動の充実も言われて、当時からアクティブ・ラーニングのイメージがあったんです。でも、なかなか現場は動かない、高校が動かないというので、今回の改革というふうになったわけです。


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<理由その2>日本社会の課題
二つ目の理由としては、日本社会の課題。人口減少社会や膨大な債務残高をはじめとして様々な問題があるのはご存知の通りです。
特に、人口が減っていく中で生産性を上げるにはイノベーションが必要だというのは経済界の一致した考え方です。そういう点で少しでもイノベーションにつながるような教育が求められている。


<理由その3>選挙権年齢
三つ目の理由としては、18歳選挙権の話。これは積極的な意味での話になりますが、ずいぶん話題になっているので詳細は省きます。


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<理由その4>伝達?構成?
四つ目、ここは詳しくお話ししたいと思います。コミュニケーションには伝達型のコミュニケーションと言われるものと、構成型コミュニケーションと言われるものがあります。構成型コミュニケーションとは、会話のやり取りの中で、相手の反応によって次の発言が変わっていくようなコミュニケーションのことです。
学習の場ではどんな感じになるかと言いますと…
学習というのは教師が持っている知識をいかに学習者に伝達するかという、伝達型のイメージです。それに対して構成型というのは、いかに学習者と学習者をつなぐ、あるいは学習者と知識を対話していく、「つなぎ対話」を促していくか。その中で、教師が想定していなかった知識、あるいは考え、そういったものが湧き上がってくる。となると、伝達型コミュニケーションよりも構成型コミュニケーションの方が豊かな学びが生まれる可能性があるんじゃないかということです。こういう学習者観。教師は学習環境のデザイナーという感じでしょうか。

この根底にあるのが、構成主義、あるいは社会構成主義と言われている考え方です。葛藤していく中で、知識が自分の中で再構成され、我が事として認識されていく。たとえばすごく優秀な、まじめな生徒が、先生が板書した通りに完璧にノートに写すのだけれど、いっこうに学力は上がらない。それは、相互作用をしていない、つまり自分の言葉で主体的に知識を生み出していないからなんですね。
つまり、プロセスの中で主体的に知識を生み出す場を与えることが重要。簡単に言ったら、「今日の授業で大切なことは何? 書いてごらん」というその一言ですね。単に板書をノートに写すのではなくて、自分の中にいったん落とし込んで、自分の言葉で語りなおすというプロセスが発生するわけです。単純なことですが、自分の言葉で語りなおすということが、実は重要なんです。構成主義はそういうことを考えさせてくれる考え方で、これに基づいた時に、従来型の授業で、すごくいい先生というのは、実はこれをもうすでにやっている先生なんです。知識伝達型授業と言われている授業でも、これをちゃんと組み込んで、1対40人の授業をしながらやっているわけです。なかなかそういう腕のある先生ばかりじゃないので、もっと仕組みとしてやろうというのが、今のアクティブ・ラーニングになろうかと思います。


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<理由その5>「発達の最近接領域」理論
五つ目の理由としては、ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」理論。古い理論ですが、一人で到達する水準よりもみんなで到達する水準の方が、可能性は広がるんだという理論です。これも実証されている理論の一つです。
それが生徒指導にも使えるという発想で、協同学習という言葉が生まれた。学習指導しながら人格を磨いていくということができるんじゃないかという考え方です。もともと教育の目的、教育基本法の第一条に人格の完成を目指すというのがあるわけで、学力の向上を目指しているのではない。そういう点で、授業の中で学力を上げながら人格も上げていくということを同時にできる可能性がアクティブ・ラーニングにはある
これは部活動のシーンでも言えることです。朝日新聞の東京版にあった記事ですが、帝京高校野球部で指揮をとられている前田監督のコメントが載っていました。今の子どもたちは教え込む一方でなくて、子どもたち同士で監督さんの考えを上回るような、そんな考えが担保されているような場を与えることが必要になってきている。なぜならば野球にしてもサッカーにしても状況がどんどん変わっていく、その変わっていく状況の中で自らが最適解を判断して直ぐに実行できる、そういう自己指導能力を鍛えていかないといけないという考えです。監督さんの頭の中の知識が伝達されるだけでは、もはやイノベーティブな部活動はできないといったような感覚ですね。今年予定されているPISAでは、問題を自分の置かれた状況における最適解を考える、そういった問題が出てくると言われています。


2015年10月2日 公開

※先生方の勤務校は取材当時のものです。


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