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試行調査地学

「地学基礎/地学」大学入学共通テスト 試行調査 出題内容の分析

「地学基礎/地学」大学入学共通テスト 試行調査 出題内容の分析

この情報は2018年11月19日時点のものです。

「地学基礎/地学」の大学入学共通テスト 試行調査(プレテスト)の出題内容の分析です。
平成30年11月に実施された、大学入試センター「試行調査(平成30年11月実施分)」の問題分析結果をレポートいたします。


地学基礎
地学


「地学基礎」

出題内容の特徴と構成

「地学基礎」の特徴

  •  基本的に昨年の地学の試行調査でみられた傾向に沿った出題であった。最近の研究を題材とした出題や、従来のセンター試験よりも問題文や図からの高度な読み取りの力を要する問題が出題された。また、探究活動のレポートで「観察事実」と「考察で得られる事柄」との区別を問う設問がみられた。

大問構成

「地学基礎」
3大問構成で、題材として日常生活や社会に関連したものや、最近の新たな研究成果に関するものなども扱われ、地学基礎の範囲から幅広く問われた。全体の分量は、2018年度のセンター試験地学基礎本試験と比較してやや増加した。
一つの設問に対して解答欄が二つ設定されている問題(第2問問2)は、完解のみ得点が与えられた。このような出題形式は、現行課程の地学基礎のセンター試験の出題では見られなかった形式である。


出題内容の分析

第2問B 土砂災害、探究活動のレポート作成 問2

【問題内容】
土砂災害につながる土石流による堆積物について、調査してレポートを作成することを題材に、観察結果を分析して、土砂の堆積の状況を推論する問題。

【求められる力】
堆積作用についての原理・法則を理解して、堆積物の観察結果から堆積状況を推論し判断する力が求められた。


第3問A 月を題材とした思考問題 問2 

【問題内容】
初見の資料を題材にして、月面上の2点間の距離を求める問題。地球の大きさを求めたエラトステネスの方法をもとに、必要な情報を抽出して立式する必要があった。

【求められる力】
地球の大きさの測定に関する原理を理解して、このことをほかの天体にあてはめて考察し、数的処理を行って結論を導く力が求められた。

分析まとめと今後の指導に向けて

分析まとめ

「地学基礎」
・大問構成や解答数は、従来のセンター試験とほぼ同じであり、各設問の選択肢は、4択が12、6択が2と、2018年度センター試験本試験と同様、4択中心の出題だった。問題文の分量はやや多く、読み取りに時間を要する問題もあった。
・従来のセンター試験と同様に基本的な知識を扱う出題が多くみられたが、第1問問1や第3問問4のように、より正確な知識を問う出題もみられた。また、資料やデータを正確に読み取って考察することなど、学習の過程や探究活動を意識した出題もみられた。
・多くの段階を踏んで解答する複雑な問題や高度な数的処理を要する出題はみられず、地学基礎の学習内容を十分に理解していれば、比較的容易に解答することができる問題が多かった。
・日常生活や社会に関連した事象・現象(地震や火砕流、土砂災害、台風などの自然災害)、最近の新たな研究成果(月探査機の調査結果)、古文書(台風の記録)などが題材として取り上げられていた。また、観察結果を考察し推論してレポートをまとめるという形式の出題もあった。


今後の指導に向けて
「地学基礎」
・従来よりも正確な知識が身についているかを問う出題がみられたことから、教科書の内容を深く理解して、幅広く正確な知識を身につけておきたい。
・限られた時間内に、比較的分量のある問題文やデータを読み取ったり、数的処理を必要としたりすることもある。センター試験の過去問などに取り組み、考察問題や計算問題に十分慣れておきたい。
・レポート作成に関連した出題がみられたことから、地学の基本的な概念や原理・法則を意識しながら探究活動を行い、資料やデータの分析結果から課題解決に向けて考察・推論する練習を積んでおくことも大切である。また、題材として、最新の研究や身のまわりの地学現象が取り上げられている。日ごろから地学に関連した事象やニュースに興味・関心をもっておくことが問題に取り組むうえで有利になると思われる。


「地学」

出題内容の特徴と構成

「地学」の特徴

  •  昨年の試行調査と同様に、探究活動や最近の研究を題材とした出題がみられた。従来のセンター試験よりも問題文や図からの読み取りを要する問題が多く、より高度な数学的な技能を要する問題も出題された。「ある岩石に関連する学習内容」という切り口で幅広い分野を扱う小問集合形式の出題もあった。

大問構成

「地学」
5大問構成で、全大問を通して地学基礎と地学の幅広い分野からの出題であった。また、最近の新たな研究成果に関するものも題材として扱われた。選択大問の設定はなかったが、全体の分量は2018年度のセンター試験地学本試験と比較してやや増加した。第1問は、固体地球、地史、海洋分野を融合させた主に知識を問う出題であり、第2問~第5問は分野別の題材に沿った、知識のほかに思考力・判断力・表現力を試すように工夫された出題であった。
一つの設問に対して解答欄が二つ設定されている問題が2設問(第3問問5、第4問問4(完解のみ得点))あった。このような出題形式は、現行課程の地学のセンター試験の出題ではみられなかった形式である。


出題内容の分析

第3問 探究活動(地質調査) 問5

【問題内容】
事前の予測とは異なる調査結果から仮説を三つ立て、その検証方法を問う問題。検証方法の一つは例として示されており、残りの二つの仮説の検証方法を考察する。検証を行った結果が仮説の妥当性を判断できるかについて考察する必要があった。

【求められる力】
地層の形成に関する原理・法則の理解をもとに、仮説を確かめるために検証する方法を考察し、決定する力が求められている。


第4問A 地球におけるエネルギー収支 問3

【問題内容】
仮定の設定にもとづく思考実験的な考察を要求する問題である。仮定した内容によって起こり得る条件は問題文で説明されており、それを読み取って考察して結論を導き出す必要があった。

【求められる力】
熱輸送に関する原理の理解をもとに、仮定された内容の課題を把握し、情報を整理して考察する力が求められた。また、得られた結果をグラフで表現する力も求められた。

分析まとめと今後の指導に向けて

分析まとめ

「地学」
・大問数や解答数は、選択問題がなくなったことを考慮すれば、従来のセンター試験とほぼ同じであった。一方で、各設問の選択肢は、4択が23、5択以上が7と、2018年度のセンター試験本試験と比較して選択肢数が5以上の出題が目立った。問題の分量はやや多く、読み取りに時間を要する問題もあった。
・探究活動や最近の新たな研究成果を題材とした問題がみられた。
・従来のセンター試験と同様に基本的な知識を問う問題もみられたが、多段階のステップを踏んで考察する問題や、仮説を検証する問題、思考実験的な考察を要求する問題など、思考力・判断力をみるような工夫がなされた出題がみられた。また、グラフを読み取ったり、結論をグラフで表現したりする問題が多く出題されており、グラフでの表現力が求められる出題もあった。


今後の指導に向けて
「地学」
・あまり細かい知識は要求されていないが、多くの問題で原理・法則を理解したうえで考察しなければならないように工夫されており、中途半端な知識では解答は難しい。知識として単純に用語を覚えるだけではなく、それぞれの知識のもとになる原理も正確に理解しておきたい。また、グラフの読み取りや結果をグラフで表現する問題も多く出題されており、普段からグラフの読みとりやグラフを描く練習も行っておきたい。全体的に問題の分量が多く、解答時間も限られていることから、考察問題や計算問題に十分慣れておきたい。
・探究活動を題材とした問題への対策として、実験の原理なども意識しながら探究活動を行い、実験レポートの作成などを通じて、データの分析の仕方や結果からの科学的な考察の仕方について練習を積んでおきたい。また、題材として、最新の研究や、自然災害が取り上げられており、日ごろから地学に関連した事象やニュースに興味・関心をもって接しておくようにしておきたい。

ラーンズ 問題集のご案内

『進研WINSTEP地学基礎【改訂版】』

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地学のより深く思考力を問う問題にも対応できます
学習指導要領「地学基礎」に準拠して、地学基礎の教科書レベルの「知識」と「理解」を確実にすることができるような、(1)知識の確認、(2)差がつく例題、(3)模試問題にチャレンジ、の3ステップで教材をデザインしています。また、最終UNITの総合問題では、身につけた知識・技能を活用できる演習問題を出題し、地学基礎の学習を深めることができるようにしています。



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