【地理B】生徒の理解を深めるアクティブ・ラーニング型授業

Learn-S Report Vol.22 地歴公民(地理B)

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Learn-S Report(ラーンズリポート)

毎回、各教科のスペシャリストを招いて、対談やインタビュー形式で、各校の指導事例や先生方の熱い声をお届けする、ラーンズの連載企画「Learn-S Report(ラーンズリポート)」。

今回は、地理で,長年,言語活動を重視したアクティブ・ラーニング型の授業をされている神戸大学附属中等教育学校の高木優先生に,授業を通して生徒さんに身につけさせたい力とは何か,その中で,『進研WINSTEP地理B』その他の教材がどのように位置づけられているかを中心にお伺いしました。
先生のプロフィール

高木 優先生
教員歴22年。兵庫県立鳴尾高校,北海道厚岸潮見高校(現・北海道厚岸翔洋高校)などを経て,神戸大学附属中等教育学校へ。同校に赴任して7年目。新任の頃から,生徒と対話をしながら進める生徒参加型の授業に取り組む。地歴・公民科教諭。進路指導部長。


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生徒の理解を深めるアクティブ・ラーニング型授業

授業で大切にしているのは,教科書に載っていることを,いかに生徒と共有できるか

ラーンズ
先生の授業は,ベネッセ教育総合研究所でも取材させていただき,授業風景や授業についての先生のお考えを「シリーズ 授業大公開」として動画でご紹介していますので,実際の授業の展開は,あらためてご説明いただくよりも,動画を見ていただくほうが良いですね。
http://berd.benesse.jp/special/openlec/lecture_02.php
先生は,ずっと,生徒さんと先生,および生徒さん同士の対話を重視した授業をされているのでしょうか。

高木先生
はじめは,グループ学習はしていませんでした。グループになって共有する授業は,本校に赴任してからです。教科書の内容を生徒と一緒に共有するために,生徒の発想を取り入れながら一緒に学習できれば良いなと思っています。

ラーンズ
神戸大学附属中等教育学校様の場合,中学1年から言語活動を重視したアクティブ・ラーニング型授業を進めていると伺っています。高校1年生にあたる中学4年生では,グループで考えたり,考えたことを発表することに慣れているのではないでしょうか。

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高木先生
それがそうでもないのです。グループ学習は,同じスタイルで取り組んでも,高校生では中学生よりも深い思考を設定しなければ,共有や話し合いが活発になりません。あらためて問いの質を意識して,一から取り組み直します。


ラーンズ
それでは,これからのお話は,高校1年生から初めてアクティブ・ラーニング型の授業を始める学校様にもあてはまる事例としてお伺いしても差し支えありませんね。
あらためてお伺いします。先生は,4年生(高校1年生)から6年生(高校3年生)までの3年間で,授業を通して,生徒さんにどのような力をつけさせたいと考えられていますか。

高木先生
地理では,学習した知識だけではなく,それを活用することが大切なので,それが自分でできるようになることをイメージしています。資料から読み取って,それをどのように活用するかというトレーニングは,社会に出てからも役立つのではないかと考えています。

ラーンズ
資料の読み取りを,4年生(高1)から重視されているのですか。学年によってステップを踏んでいくわけではないのでしょうか。

高木先生
4年生(高1)からです。いろいろな発問をしながら,生徒から引き出すようにしています。4年生(高1)と6年生(高3)では,4年生の方が資料から読み取り,それを活用するスピードがゆっくりで,6年生になるとそのスピードが速くなるという違いがあります。資料からの読み取りがスムーズにならなければ,資料活用問題の多いセンター試験には対応できません。


「こう解く」と教えるのではなく,生徒同士が「どう解くか」を共有しあう

高木先生
4年生(高1)では,いろいろな資料から情報を読み取り,「概念」をつかむことを目的とした授業をしています。グループで検討して,「こういう素材から,これが読み取れました」ということをホワイトボードに書いて共有します。その場合,グループ内では「読み取れたことは何だったか」を共有していることが多く,「どのような過程で,そのように読み取れたか」を共有していることは少ないです。

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5年生(高2)・6年生(高3)になると,「私はこう読み取って,この結果を導き出した」といった会話が続きます。知識・技能ではなくて,技能プラス思考力・判断力の過程をお互いに交流しています。答えを教え合うのではなくて,答えの導き方を共有しているのです。
今日は教科書に沿った授業と並行して行っている6年生(高3)のセンター試験過去問演習の授業を見学していただくので,そんなところが見られると思います。


ラーンズ
授業を見学させていただき,ありがとうございました。今回,拝見させていただいた授業では,配布された演習問題プリントを,まずは自分で解いて,次にグループで検討して正解を絞ってホワイトボードに書くという展開でしたが,生徒さんは解き方について活発に意見を出し合っていました。生徒さんの解き方を聞いていると,「そこに着目したのか」と驚く視点がありました。

高木先生
地理の学習では,そこが大切だと思います。興味深い読み取り方をした生徒に対して,まわりの生徒たちが「すごい」って反応していました。あれが生徒参加型の授業の良いところだと思います。教員が一方的に伝えただけではそれほど反応がないかもしれませんが,生徒からその発想が出てくれば,言った方も,反応した方も,解き方の視点が理解できて定着します。

ラーンズ
先生は,問題そのものの内容だけではなく,派生して,さまざまな内容の発問をされていましたね。

高木先生
関連した項目の復習も兼ねて,問題の内容から派生した発問もしています。それから,今日の問題演習は,センター試験過去問から「地域調査」の大問を扱いました。地域調査は,「知っているかどうか」で答えられる設問が少なく,かつさまざまな分野からの内容が含まれていますので,グループで共有する授業には適しています。

ラーンズ
そういった授業を経て,生徒さんに「資料から概念をつかんでいく力」が身についているかどうかは,どのような方法で評価されているのですか。

高木先生
テストや生徒の授業の様子も見ますが,一番は,通常の授業で使用しているワークシートです。書き込んだワークシートを授業の後に提出させています。
授業には,今日はこれがポイントだという「ねらい」がありますから,そのねらいが達成できたかどうかを,それぞれのワークシートの「この部分で評価する」と想定している箇所があります。ワークシートを見るときは,その箇所を見ます。また,生徒が「何かをつかんだ」ところが表現されているポイントがあるかですね。


『WINSTEP』は,考えることに慣れていない生徒に考えさせる教材

ラーンズ
『進研WINSTEP 地理B』『進研センター試験直前演習 地理B』を,3年続けてご採択いただきましてありがとうございます。どういう場面で,どのようにご活用いただいていますでしょうか。

高木先生
『進研WINSTEP 地理B』は,KUタイムと呼んでいる,朝7時40分から8時20分までの6年生(高3)の補習授業で使用しています。週に1回ですので,6月からはじめて9月までの10回で,1冊を終了しました。目的は,知識の整理と,まだ考えることに慣れていない生徒に考えさせるためです。朝なので,頭の整理をしてくれるページと,問題演習のページの両方があるのが良いですね。
進め方は,ユニットによって違います。ユニットの最初からする場合もあるし,STEP3の解説からする場合もあります。先ほどと同じように,派生してどんどん質問していきます。その分野に必要なことは,紙面にほとんど載っています。ですから,どんどん進めても,あとから自分で再確認できる構成になっていると思います。
あと,2色であることと,分量が丁度よいです。今年は,希望者にダウンロード問題も渡しました。

ラーンズ
ダウンロード付録の『センター試験分野別過去問演習』ですね。レベル別に2タイプあるのですが。

高木先生
平均点がとれれば良い生徒と,8割は必要な生徒がいますので,レベルを説明して,両方とも渡しました。問題演習としては,『進研センター試験直前演習 地理B』を,秋以降,生徒に自宅で解答させ,KUタイム(補習授業)で解説を行っています。

ラーンズ
『WINSTEP』を使用されての,生徒さんの反応はいかがでしょう。

高木先生
直接聞いてみてください。先ほどの授業を受けた生徒の中から,2人を呼んでいます。


調べたことを,この1冊にまとめています

ラーンズ
本日は,『進研WINSTEP 地理B』の使い方について,お話を聞かせてください。拝見させていただくと,ずいぶん書き込みが多いですね。日ごろ,どのように使われているのですか。

Aさん
補習授業の前に,前もってざっと解いていっています。どういう順番で考えればよいのかがわかるので使いやすいです。

ラーンズ
補習授業の前と授業中で,これだけの内容を書き込んでいくのですか。先ほどの授業のように,ユニットに関連してどんどん質問される内容も書き込まれているのかと思いますが,それにしても多いですね。

Bさん
先生から,付録のセンター試験の過去問プリントを配布されたので,それを解くのにも使っています。解きながら,資料集などで調べたことを,この冊子の図の中や余白に書き込んで,この1冊にまとめあげるようにしています。『WINSTEP』は,図や資料がしっかり載っているので,資料集から補足しやすいです。


Aさん
『WINSTEP』はちょっと演習問題の量が少ないと思ったので,付録のセンター試験過去問プリントも解いています。Bさんと同じように,冊子の該当ページに必要なことを補足しています。センター試験当日に,どの問題集を持っていこうかと考えているのですが,地理は,この1冊にすべてをまとめて持っていきたいと思います。


ラーンズ
お二人とも,工夫して活用していただいているのですね。お忙しいところ,ありがとうございました。


教材を教えるのではなく,教材で教える

ラーンズ
文部科学省によると,今後,思考力・判断力,さらに主体的に学ぶ力を重視する方針が発表されています。特に,課題解決に向けて「構想する力」などを,これからの教材を通してどのようにご支援していくことができるかと検討をはじめているのですが。先生は,どうお考えでしょうか。

高木先生
「構想する力」に必要な要素は,すでに,すべて『進研WINSTEP 地理B』に記載されています。授業は「教材を教える」のではなく,「教材で教える」と考えています。そのための素材が入っていて,応用しがいのある教材であれば助かります。
そのためには,教材編集者の皆さんは,どんな授業が行われているのかを実感を持って知ることが一番大切です。授業を知らないと教材は作れません。どんどん学校を回って,授業を実感していただけると良いかと思います。

ラーンズ
ありがとうございます。肝に銘じます。


取材後記

高木先生からは,何度も「共有」という言葉をお聞きしました。「生徒と共有する」「生徒が共有しあう」ことを追求された結果,実践されているのが,「個人で考え,グループで共有する」,いわゆるアクティブ・ラーニング型の授業なのだと実感しました。最終的に共有し合いたい内容を生徒さんから導き出すには,考え抜かれた発問が不可欠です。その素材として活用していただける教材を作成するには,授業を知っていることが前提となります。「授業を知らないと教材は作れません。」という先生のお言葉を肝に銘じて行動に移していきます。
生徒さんに,「センター試験当日に,この1冊にすべてをまとめて持っていく」と言っていただけたことは,編集者冥利に尽きます。生徒さんからも,選び取っていただける教材を作り続けます!!

村松 明子


2016年10月22日 公開


学校紹介

Learn-S Report Vol.22 地歴公民(地理B)
神戸大学附属中等教育学校
2009年度,神戸大学発達科学部の旧附属明石中学校・住吉中学校を母体として,中等教育学校として発足。2012年度,後期課程(高校)が開設された。神戸大学の教育理念(グローバルエクセレンスの実現)にもとづく「グローバルキャリア人」の育成をめざした教育を推進。ユネスコスクールに認定され,さらにSGH(スーパーグローバルハイスクール)にも指定されている。2013年度には,「地理基礎」「歴史基礎」の新科目の研究開発学校に指定された。2015年度の主な進学先は,近畿地方の国公立大学を中心に23名(現役のみ),私立大学に61名(現役のみ)となっている。


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