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【英語】研究会レポート「英語4技能を身に付ける」 カシオ計算機 共催

研究会レポート 英語

【英語】研究会レポート「4技能を身に付ける リスニング&スピーキング トレーニングセミナー」

研究会の概要
ラーンズ 研究会レポート Vol.019 英語/東京
2018年8月23日に東京で「4技能を身に付ける リスニング&スピーキング トレーニングセミナー」を開催しました。 木村達哉(きむたたつや)先生に英語4技能指導環境の変化や英語指導の実践事例についてご講演頂きました。

研究会 テーマ
単語集の正しい使用法と基礎トレ
Listeningの基礎トレと Reading指導法
英作文、自由英作文の指導について



先生のプロフィール
先生のプロフィール

木村達哉(きむたたつや)先生
1964年生まれ。 関西学院大学文学部英文学科卒業。灘中学校・高等学校で教鞭を執る傍ら、『夢をかなえる英単語 ユメタン』シリーズ(アルク)をはじめ、多くの書籍や問題集を執筆・監修。 また、全国各地の中学校・高等学校での講演会も行いながら、英語の先生の指導力向上を目指す「英語教師塾」や、福島・沖縄の生徒支援を目的とした勉強会「学びのネットワーク」を開催するなど、人との「縁」を大切にした活動を続けている。

単語集の正しい使用法と基礎トレ

【英語】研究会レポート「4技能を身に付ける リスニング&スピーキング トレーニングセミナー」

言語を使うためには、「文の構成力」、「文法知識」、「語彙や表現の多さ」が必要だと思っています。確かに沢山読んで、沢山聞いて、沢山しゃべって、様々な活動を通じて知識を増やしていくというのは理想でしょう。けれども、授業の1週間4コマで4技能というのを身につけさせようとしたらかなり大変です。ですから、家庭学習をどれだけさせるのかというのが最大のテーマです。いかにして自宅で勉強させるかというのを常に考えながら、出来れば20コマ位に当たるぐらいの勉強を家でさせることを意識しています。

リスニングで一番大切なことは何か。これは自分で正しく発音できるということです。聞く分量ではありません。私たちは、単語集を覚えさせるときに綴りを重視してしまうのですが、まずは、本当に使えるようにしたいのであれば、音源を使って正しく発音できるようしないと、リスニングの本を何冊やっても意味がありません。単語集をやるだけでも、リスニングは出来るようになるんです。 自分で読めるようになるというのが大事だと思っています。それから例文をしっかりと言える。つまり、単語は知っているのだけども、例文の中でどの意味が使われるのだろうということかを理解していることが大事になってきます。

それからバックトランスレーションです。日本語から英語に直すというものです。 また、忘れにくい覚え方を生徒たちにしっかりと覚えさせないといけません。対処療法的な覚えさせ方をすると、試験が終わった後に、一気にすっからかんになります。ある一定のところを決めたら毎日、毎日繰り返すという指導が大事です。綴りを書けないのだったら書く必要はないと思っています。しっかりとしゃべれる、しっかりと聞けるというところが大事です。単語集はCDがないとダメですし、一番よくないのは、CDがついていても教員が授業中に使わないことです。教員が使わないとなると、生徒もほぼ100パーセント使わないはずです。使い方が分からないからです。先生方がお使いの語彙集、単語集、表現集は使い方を説明してあげてください。


Listeningの基礎トレと Reading指導法

【英語】研究会レポート「4技能を身に付ける リスニング&スピーキング トレーニングセミナー」

Listeningは、共通テストの筆記とリスニングが100点対100点になるとすごく大変だろうと思っています。特に放送が一回だけになりますと、ハードルは高いのではないかなと感じています。 Listeningは知識も重要ですが、それだけではうまくいかないということがあります。問題集をやっていても点数はあまり上がりません。普段から単語集にしても、Readingにしても、まずは自分で発音できるかということをチェックさせてあげないといけません。 Listeningを意識したかたちで、常にReadingの指導をするようにしています。これからReadingの模擬授業をしますが、ラーンズのListening&Speaking Training Seminarを使用します。 Listening、Speakingの教材ですが、もちろんReading教材として使うこともできます。読むときには100WPMくらいで、返り読みしないで、初見で意味をとって読んでください。Listeningは返り聞きできないので、出てきた順番で頭をアクティブに動かして、意味を取ることを要求されますので、ReadingのときからListeningと同じメンタリティをつくりたいです。初見のものを返り読みしないで読むというのは大事です。このトレーニングはかなり有効です。難しい文章で行って、単語が難しい場合、そこで止まってしまうことがあります。出来れば簡単なものや、一回読んだ教科書などでもいいです。100WPMで読めば、おおよそセンター試験は4000wordsですから、読むだけだったら40分くらいで読み終わります。

Listeningのトレーニングで一番大事なのは、聞いたことを自分で発音出来るようにするということです。語彙とかフレーズをちゃんと自分で発音できる。次は、意外と大事なのは音の変化とか、抑揚、イントネーションで、模倣させるということです。3つ目は、読んだものを使って聞く体力をつけることです。リスニングの授業は、読んだものを使って、何度も意味を追うトレーニングをしなければなりません。できれば高2までやってあげるとすごくいいと思います。読んだものを何度も何度も多聴するというのが大事。初めての物を使ってやると、一番まずいのは劣等感が生まれてしまうことです。聞き取れない理由は様々あります。劣等感を芽生えさせないために、一回読んだらひたすら多聴させるのが大事なのではないかと思っています。

ディクテーションをするときに、気を付けなければならない点がいくつかあります。 まず、どうしてディクテーションするのかという理由を説明する必要があります。Listeningの場合は、どこが聞き取れて、どこが聞き取れていないかというのは、音声である以上、線は引けないことになります。ディクテーションすることによって聞き取れていないところを見つけるということを説明してあげることが必要です。 ディクテーションそのものが勉強と思っている子もいます。ディクテーションそのものは、勉強する前の作業でしかないわけですから、その理由を説明してあげます。 「ディクテーションが終わったら勉強しようね」という声掛けが必要となります。 音声を流すといきなり書き始める生徒がいるので、そうすると聞きながら書くことになりますが、そんなことは出来ません。 注意点として、ディクテーションするときは、顔をあげて、しかるべきところまでは聞いて意味をとらせます。 次にテキストのスクリプトを見てもらいます。Readingに入ります。 どこが聞き取れなかったか線を引かせ、なぜ聞き取れなかったか考えさせます。問題なのは、知っていてわからなかったということです。

この後バックトランスレーションを行いますが、「ここは覚えようね」ということは伝えておく必要があります。理解していないのに音読活動に入ったり、意味が分からないのに暗唱活動を行うのは意味がありません。 意味が分かったうえで音読活動や暗唱活動をするから力がついてくるわけです。なので、その前には辞書を引いたり、先生方が解説したりという時間が必要です。訳読式ばっかりやっていてはダメかもしれませんが、訳読式のコーナーに関しては必要です。Listening&Speaking Training Seminarを採用すると、スクリプトと訳のテキストデータをダウンロードできますので、それを使って穴埋めシートをつくり、その穴埋めを見ながら音読することをしています。最終的には、日本語を見たら英語に直せるというのが最も良いですが、いきなりは難しいですし、生徒たちはやることも多いので、最低限穴埋めのところをできるようしています。 Listeningをするときに、ディクテーションとか音読をするのは当たり前です。Listeningをしながら、私たちの頭の中では、アウトプットまでを考えます。WritingやSpeakingのところまで持って行ってやるというのが大事なのではないかと思います。単に音読していると、何のために音読しているのか分からないということになります。「この後、穴埋めアウトプットがあるよ」など、ゴールを見せることが大事です。


英作文、自由英作文の指導について

【英語】研究会レポート「4技能を身に付ける リスニング&スピーキング トレーニングセミナー」

英作文の指導について

英作文の指導は難しいです。本当に。 以前は生徒が黒板に書いて、それを添削するというスタイルを取っていましたが、なかなかうまくいきません。どうすれば英作文はうまくなるのかなど、どうやったらちゃんと書けるのかというのをあまり教えないで、添削ばかりしていました。そもそもReadingにしても、Listeningにしても、こうやればという勉強法をちゃんと教えてあげないと、うまくいかないのではないかと思い、英作文は完ぺき講義形式にしています。 本来は英作文というのは、日本語を英語にすることではないのです。そもそも、その筆者が何を言おうとしているか読み取る目が必要となります。例えば、「お前さ、部活動と勉強のバランスが大事だと思うよ」という文があります。この文を出すと、まずはバランスに目が行きます。「get a balance」、「take a balance」どっちだろうなどと考えます。「It is important to keep a balance between A and B」と書けばいいのですが、文をもっと読み取ろうという姿勢がなければなりません。

しっかり読めば、これは「部活動のみならず、勉強もすることは大事だと思われる」という「not only A, but also B」を使えば簡単に書けることが分かります。そのことに気づかせてあげることの方がよっぽど大事です。与えられたものをどんなふうに加工するのかということを読み込むことが教える側にとっては大事ですし、英語力以上に日本語力が必要になってきます。


自由英作文の指導について

自由英作文は本当に難しいです。英語力だけでは全然合格点が取れません。 以前は、自分の英語力の範疇だけで書けばいいよとか、ミスがないように書けばいいよと指導していたのですが、それだけではだめです。では、私たちは何を教えるのかということになります。授業中は、語彙力を増やすということを常に意識します。それから英語力に関しても意識しますが、問題は発想力のところです。 これが難しいです。教員には教えられません。

Listening&Speaking Training SeminarのSpeakingの「日本の生徒がどうして留学したがらないか」という設問について、英語で書き出す前に、考えを書き出すことが大事です。日本語でいいので書いてください。次は、ブレインストーミングに入ります。目的は二つあります。一つは、自分が書いた意見に対して論理性はないと周りの生徒に指摘してもらうこと。もう一つは、気が付かなかった他の生徒の発想を徹底的に吸収することです。 ここから先生方の出番です。書き方を教えてあげます。今、ブレストを行ったのはコアになる部分ではありますが、コアになる部分だけでは書けないので、書き方を教えてあげます。また、自分の知っている語彙は出来るだけ使わせません。授業は練習ですので、とにかく新しい語彙を使いなさい、新しい語彙を使いながら覚えていきなさい、使えなかったものを使えるように頑張ろう、そういう指示をしてあげます。

授業では、翻訳型英作文にしても、自由英作文にしても語彙を獲得させるという目的があります。


研究会の感想
ラーンズ マーケティング・営業部より
木村先生のご講演は、いつも具体的な模擬授業を展開して頂きながらポイントを教えてくださるので、授業のイメージが湧きやすく、試してみたいと思われる先生も多いかと思います。また、指導における根拠が論理的で、尚且つ、時には辛いトレーニングも、生徒のモチベーションを高めて前向きに行えるようにしていくお話ですので、何度聞いても参考にさせて頂くことが多いです。ご講演ありがとうございました。

※先生方のプロフィールは研究会当時のものです。


2018年10月17日 公開

2018年11月23日(金)に、同シリーズのセミナーを水戸にて開催いたします。
こちらより参加お申込みいただけます。


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