【英語】研究会レポート「スピーキング/ライティング指導を考える会」

英語教育改革について

【英語】研究会レポート「これからのスピーキング指導/ライティング指導を考える会」

研究会の概要
ラーンズ 研究会レポート Vol.022 英語/東京・大阪
ラーンズ企画制作部 英語編集課の仁熊・白川です。
2018年9月21日に「これからのスピーキング指導/ライティング指導を考える会」を東京と大阪で同時開催しました。小山 敬一先生(就実大学)と岩佐 知善先生(川崎医科大学附属高等学校)にご登壇いただき,ライティング指導とスピーキング指導についてお話しいただきました。東京・大阪合わせて80名近くのたくさんの先生方にお集まりいただきました。

研究会 テーマ
英語教育の全体像,英語ライティング指導について
英語スピーキング指導について



先生のプロフィール
先生のプロフィール

小山 敬一(こやま けいいち)先生
1957年岡山県岡山市生まれ。
英語教師として岡山県公立高等学校に33年間にわたり勤務。2017年4月より就実大学人文科学部教授。高校在任中は2つの新設校の開設に関わる。また岡山城東高校のSELHi事業(第1期校)開発責任者として、発信型コミュニケーション能力養成と評価指標のモデルを作成。

先生のプロフィール
先生のプロフィール

岩佐 知善(いわさ ともよし)先生
1967年岡山県岡山市生まれ。
ベネッセコーポレーション高校事業部で進研模試の英語編集,同国際教育事業部でGTECの開発などを担当。2003年4月より現職。少人数制の学校で,医師の卵たちとのんびり・ゆったり・どっぷり英語に浸る。

英語教育の全体像,英語ライティング指導について

「今後,社会や入試が求めるものとは?」

【英語】研究会レポート「これからのスピーキング指導/ライティング指導を考える会」

小山先生
新学習指導要領では,4技能・5領域をバランスよく伸ばす指導が求められています。4技能・5領域とは「聞くこと,読むこと,書くこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表]」を指しています。「話すこと」について,[やり取り]は授業に取り入れている先生方も多くいらっしゃると思いますが,[発表]については,やらなければならないがまだできていないという先生方が多いのではないでしょうか。今後ウエイトが置かれる部分だと思います。

指導要領には「統合的な言語活動を通して」と明記されています。「統合的な」ということは,英語で授業をするだけではいけない,ということで,生徒の発信力の一層の育成が求められていると考えられます。大学入学共通テストの導入や,英語4技能資格・検定試験が活用されることを見ても,4技能・5領域のバランスのよい育成が求められています。

今日は「書くこと,話すこと」の,特に「書くこと」について,私が今まで行ってきた指導についてお話しします。


現状のWritingの指導は?

小山先生
ご来場の先生方は授業でWriting,自由英作文の指導を行う際に,生徒にどんな力をつけさせたいでしょうか。どんな指導を行っているでしょうか。書く力を高めるために,つけておくべき力とはなんでしょうか。これらの質問の答えがそれぞれ,「育成目標」「育成方法,方策」「構成要素」にあたるものです。

まず「育成目標」はなんでしょうか。入試で得点できる力をつけさせることでしょうか。 世界で活躍する人材に育てることでしょうか。ここで大切なことは,「日本全国の高校生の育成目標」ではなく,「自分の生徒の」育成目標を立てることです。生徒によって育成目標は異なります。教える生徒に対応した目標設定,とりわけ英語に自信のない生徒の目標設定が非常に大切です。「育成方法,方策」も同様に,自分の生徒の現状・実態・実力を踏まえて,自分の生徒に合った方法を見極める必要があります。言葉は悪いかもしれませんが,「(英語が苦手な生徒の)症状」に適した「処方(Treatment)」を行うイメージです。

「自由英作文を書く力を高めるために,つけておくべき力」にはいろいろな要素があります。自分の考えを効果的に伝えるためには,内容やパラグラフ構成はもちろん,統語法や読者を意識した表現,そして自由英作文のアイデアをどのように手に入れるかということも重要です。


理想の指導 現実とのギャップを埋める方法

【英語】研究会レポート「これからのスピーキング指導/ライティング指導を考える会」

小山先生
「自由英作文の指導で大切なのは,言語知識と言語使用を往還して鍛えることだと思います。運動部で例えると,基礎トレーニングと練習試合を同時に行うイメージです。そして生徒が「なぜうまくいかなかったのか」「何が足りなかったのか」という気づきを得ることが大切です。自由英作文については,生徒自身で「語彙や文法知識が足りなくて,表現しきれなかった」と気づくことがあるでしょうし,先生が「この論理展開では説得できない」と指導することもあると思います。生徒が「これがないからできなかった」とわかれば,生徒は気をつけるべきポイントがわかるので,試してみたくなります。生徒の気づきを促すと,結果として生徒のやる気を引き出すことができるのです。

生徒の気づきを促すために,「プロセス・ライティング」の手法を用いるとよいでしょう。特に,英語に自信がない生徒に自由英作文の指導を行うときには,論理的・英語的な発想や構成の仕方など,自由英作文を書く過程の部分を丁寧に伝える必要があります。しかし,英文を書く過程において,論理や構成以前に,「何を書いたらよいかわからない」「書く内容が思いつかない」という生徒が案外多いのではないでしょうか。実は,英文を書き始める前のアイデア出しの部分では,クラスメイトと話し合う活動が有効です。母語で,友達同士で話し合うことで,短い時間にたくさんのことを学ぶことができます。友達のアイデアを参考にできるので,「書く内容が思いつかない」という生徒にとって,特に効果的です。先生からのアプローチも大切ですが,仲間同士で話し合うことで気づきを得たり,学びが深まったりするものです。Writingの指導においても,Peer Learningの姿勢はとても有効です。


指導のポイント

小山先生
高等学校に勤務していたときの,自由英作文の指導方法をご紹介します。以前は個人指導を行っていました。トピックの選び方を丁寧に教え,英文の論理構成を徹底的に教えます。最初はダメ出しの連続で,泣き出してしまう生徒もいましたが,励ましながら粘り強く指導しました。そうして完成版を一つ書き上げると,次からは自分で書けるように,そしてもっと速く書けるようになります。その後,個別試験で自由英作文が必要な生徒が増えたので,クラス全体で指導するようになりました。意見と感想を区別せよ,段落構成を意識せよ,論理が飛躍してはいけない,などのポイントを伝えるとともに,「よい答案とは,かっこいい英文ではなく,わかりやすい英文だ」と生徒に伝えました。まずは「小学校高学年くらいの子に説明するとして,その子が納得するくらいの内容」を書くように指導しています。学習の初期段階ではテーマが難しすぎると手に負えないので,易しいことを書いたらいいんだよ,と伝えると「そんなことでいいの? それなら書けそう」という生徒は案外多いものです。


まとめに代えて

小山先生
今日は自由英作文の指導について,私が今までやってきたことをいろいろお話ししました。ブレーンストーミングは日本語で行い,アイデアを仲間と話し合い,そのあとで実際に英作文に入る,という取り組み方をご紹介しましたが,今回ラーンズから発刊したPath to Writing 1では,お話ししたことを演習できるような構成になっています。高校1年生にも書きやすそうなテーマで構成されているので,自由英作文の最初の一歩に適した教材だと思います。コラムは「現場の先生がこう考えているんじゃないかな」と思う内容が書かれているので,コラムも全体を通して読んでいただくことをおすすめします。別冊のノートには振り返り欄があり,生徒の大好きな「いいね!」評価を書き込むことができます。できたときはしっかり褒めてあげる,クラスの仲間同士で「すごいね!」と褒め合うことで,生徒は喜んで書くと思いますよ。


英語スピーキング指導について

岩佐先生
今回は,Speakingの指導において,実際に生徒がどういったところでつまずいているのか,それを普段の授業でどう解決するか,という観点でお話ししたいと思います。

新学習指導要領のポイント

【英語】研究会レポート「これからのスピーキング指導/ライティング指導を考える会」

岩佐先生
2020年度から小学校でも英語が教科化されます。新学習指導要領ではそれぞれの学齢で学習内容についてどのように言及しているかを見てみましょう。小学校では「聞いたり話したりする『コミュニケーション能力の素地』を養う」そして「読んだり書いたりすることについての態度を育成」となっています。中学校では「互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合う対話的な言語活動を重視」となり,生徒はここまでを終えて高校に上がってくるということになります。そして中学校までで学習してきたことを踏まえて,高校では「4技能(特に課題がある「話すこと」「書くこと」)を強化する言語活動を充実(発表,討論・議論,交渉等)」となっています。

語彙に関しても,小学校・中学校で学習する語彙が増える,つまり,これまで中学校や高校で学習していたものが降りていくでしょうから,基本的なものを小学校・中学校で学習し,高校ではよりauthenticなものや時事的なものが増加する,とみることもできるでしょう。Speakingにおいては,基本的な語彙を運用できるかどうかが重要ですから,小学校・中学校で学習してきた語彙を,高校で自由自在に使いこなすことができるように,十分な下地作りや補強をしていくことが大事になってきます。


R&WとL&Sでは指導/履修スピードが違う

岩佐先生
使用語彙や文構造の観点で言うと,「会話もメールも英語は3語で伝わる」という説があります。「全世界に飛び交っている英語の80%は第3文型までで構成されている」という研究結果もあるようです。特にSpeakingにおいては,実際に「話す」という場面を想定すると,この観点が大事ではないかと思っています。例えば,海外のホテルに宿泊するときにカードキーが機能せずフロントにそれを伝えたい場合を想像してみてください。おそらく日本の高校生が学習してきている内容をベースにすると“I can’t open my door with this key.”のように表現する場合が多いと思います。学校の授業では,これでマルがもらえると思います。ところが,これはフロントの人に本当に伝えたい内容とは少しずれていますね。実際の会話の場面では “This key doesn’t work!”と,伝えるべきことを端的に伝えられるかどうかが大事だと考えています。


授業と教科書,あるいは教材

岩佐先生
ListeningとSpeakingについては指導が可視化しづらく,授業での指導が難しい,自学自習ではさらに難しいという面があります。Speakingについては高校生向けの教材もそれほど多くはありません。今ある教材は場面ごとに定型表現を覚えるものが中心で,「どういう発想で話をするのか」は教えてくれませんから,ある場面でその表現しか使えないということになります。音声面でもCDを聞くことが中心ですから,自分が話せている,話せるようになっている,という実感はほぼありません。自学自習ではなく,他者の援助があれば学習しやすいですが,授業で機材に頼ると機材の準備や機材トラブルの対応なども教員の負担となります。 ALTに頼ろうと思っても,それほど頻繁にALTがいるわけではない,という学校も多いと思います。できればそういったことに依存しすぎず,教員の負担も極力増やさず,「ちょっと英語が使えたかも!」という実感を生徒が持てるような教材があればよいのに,と考えました。


Path to Speaking 1

【英語】研究会レポート「これからのスピーキング指導/ライティング指導を考える会」

岩佐先生
今回ラーンズから発刊されたPath to Speaking 1ですが,どのUNITも高校生になじみのある設定となっていて,簡単な構文や言い回しで表現できるよう構成されています。一方で,教科書ではなかなか出てこないけれども普段の会話には出てくるような表現に触れることもできるようになっています。例えば,“polka dot” “shipping”といった表現は触れていないと実際の使用場面でなんと表現するのかわかりません。各UNIT右ページの“Let’s Try!”や“Let’s Try Again!”のコーナーでは設定だけを提示していますので,どのような観点で会話を構成するのか生徒自身で考え,話してみる,という演習をすることができます。どのUNITからでも使うことができるので,学校の状況によって組み立てて使うこともできると思います。


Learn-S Plus

岩佐先生
Path to Speaking 1はスマートフォン用アプリLearn-S Plusに対応しています。音声を聴くことができるので,CDは必要ありません。“Model Conversation”のコーナーはナレーターの音声を相手に会話の練習ができますから,ALTがいなくても練習ができて便利ですね。自分の過去の発話も保存できますから上達具合も確認できて便利だと思います。一人でも練習できますし,授業で生徒に録音してもらったものをみんなで聴いてみる,といった活用もできますね。

これから4技能,特にSpeakingをどう指導していくのかを考えると,いきなり高度な「発表」からというわけにはいきません。特に高校低学年を意識した教材で指導をしていくのがよいのではないかと考えています。


※先生方のプロフィールは研究会当時のものです。


2018年11月22日 公開



『Path to Speaking/Path to Writing』

» 「話す力」「書く力」を身につける 技能演習シリーズ 『Path to Speaking/Path to Writing』



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