研究会レポート(国語)『共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~』

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2022年11月12日 開催 研究会レポート(国語)
『共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~』

2022年11月12日(土)、立命館慶祥中学校・高等学校 里見直人先生をお招きし、オンラインにて「【国語】共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~」を開催いたしました。ご講演の内容をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

里見 直人(サトミ ナオト)先生
立命館慶祥中学校・高等学校 国語教諭。
教職歴6年。同校赴任初年度に中学1年生を担任、生徒とともに毎年進級して現在は高校3年生担任。学校目標で ある「世界に通用する18歳」を育成すべく、日々 奮闘中。「共通テスト国語をハックする」をテーマに、高得点を狙わせるマインドセット、模試の活用法、文理別の指導方法などを参加者の皆様とともに考えたいと思います。

研究会

研究会 『共通テスト導入期指導を考える会~2年生後半からの取り組み~』
講師 立命館慶祥中学校・高等学校 里見 直人先生
日時 2022年11月12日(土)14:00~15:00
対象 2024大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート(国語)

講演の主な内容

  • 入学直後の意識付けについて
  • 2年生冬から始める共通テスト対策
  • 模擬試験活用法のご紹介
  • 里見先生メッセージ

入学直後の意識付けについて

学校紹介

まず里見先生より、立命館慶祥中学校・高等学校についてご紹介いただきました。北海道にある中高一貫校で、学年の半数が立命館大学へ内部進学、他は特進クラスから東大や京大、医学部などにも進学するそうです。英語と数学を先取りし、1年生で数学Ⅱ・Bを終了します。その中でいかに国語に早期から取り組み、苦手意識をつけないようにするか、迷いながら試行錯誤している最中だとお話しいただきました。

入学直後には共通テスト国語の大切さを伝える

英語・数学で家庭学習の時間がとられる中、国語は教科書を使った定番教材の授業の時間を抑えめにするなどして、授業内で問題を解く時間を意識して作っているそうです。特進クラスは高校入学直後から面談やHRで共通テスト国語の大切さを、これまでの先輩の実例・データをもとにさまざまな角度から伝えているそうです。たとえば共通テストで高得点が取れたらバラ色の未来が待っていること、個別大学の入試における共通テスト配点比率を伝えて共通テスト対策に手を抜かないようにすることを話します。また、国立大学の併願先として私立大学を受験する生徒には、共通テスト利用入試での合格をめざせば私立大学の受験に出向く時間を取ることなく国立大学の前期試験のための勉強にしっかり取り組めることなど、学校の卒業生のデータを使って話すことで、生徒も受け入れやすいのではないかとお話しいただきました。

2年生冬から始める共通テスト対策

「飛び級」模試や共通テスト同日体験で経験を

里見先生は、2年生に対して11月での共通テスト対策模試受験を推奨されているそうです。1月の共通テストの日には、「共通テスト同日体験」として予備校で問題を解かせています。冬休み前に行われる面談では、卒業生の共通テストで開示された得点と、前年の同日体験時の得点を見せ、目標を設定させているそうです。目標設定 → テスト受験 → 自己採点 → 復習のPDCAサイクルを回すことを大事にしているとお話しいただきました。

共通テスト国語は古文・漢文で差がつく

理系は特に国語を捨ててしまいがちになりますが、努力が点になりやすいのが古文・漢文だそうです。上がる実感を早めに持たせないと国語に対する苦手意識をもってしまうので、得意意識を植え付けるためにも、まず古文・漢文からとお伝えされているそうです。1年生のうちに古典の単語や文法を習得し、2年生の夏までには古典の基礎を徹底的に固める。一文一文を丁寧に訳していくことを継続的に練習し、短文解釈の力をつけると、長文も読めるようになるとお伝えいただきました。

勉強すれば得点アップできるという達成感を

単語や文法事項の理解ができていて、句形が入っていれば解くスピードが格段に上がります。特に古文・漢文は、勉強すれば得点アップするので達成感を持ちやすいそうです。ベネッセコーポレーションの『共通テスト対策【実力養成】重要問題演習』についても、特に古典がお気に入りだとご紹介いただきました。共通テストで出た句形が網羅されているので、一冊解くことでよい復習になるそうです。付録の「学習サポートプリント」を利用してマーク形式に慣れていない生徒に根拠をもって選択するトレーニングをしたり、「自習プリント」で演習で扱った単語・文法の復習や短文解釈の練習するなど、具体的な指導についてもご紹介いただきました。

模擬試験活用法のご紹介

同日同時刻に教員も同じ問題を解く

生徒の成績を伸ばすテクニックとしてご紹介いただいたのは、模試の同日同時刻に同じ問題を教員も解くというものです。里見先生は二年前から始めたそうですが、解いてみるとすぐに生徒と模試の話ができるのも楽しく、生徒も「先生もともに戦っている」という仲間意識を持てるそうです。一緒に解いた後は、模試の解説プリントを作成し、配付しているそうです。次の日の授業で模試を復習できることも利点だとお話しいただきました。

記述の自己採点もできるように

マーク式模試は受験後に即自己採点をさせ、3年生では自己採点の得点がずれてしまう生徒には厳しく指導しているそうです。また、記述式模試では生徒に再現答案を作らせ、解答解説の「解答のポイント」をもとに自分なりに採点基準を作らせたうえで採点をさせているそうです。生徒自身が作った採点基準と実際の採点基準とを比べてみることで、採点方法を肌で感じ、記述の自己採点もできるようになるとお話しいただきました。

里見先生メッセージ

「本日は、共通テスト同日体験や模試の得点をペースメーカーに生徒を指導していること。また、共通言語を獲得してほしいので、早期に古典の基礎固めも大事だと考えていること。漢文8割、古文6割の得点目標や、教師も一緒に模試を解くおすすめの模試活用法などもお伝えさせていただきました。私は北海道には家族も親戚もいないのですが、立命館の採用試験を受けたところ、勤務地が北海道だったので家族で引っ越しました。住めば都で、とてもいいところです。先生方も視察や授業見学などでぜひ北海道に来てみてください。画面越しですがお会いできたのも何かの縁だと思います。これを機会に、ぜひ一緒に国語教育を盛り上げていきましょう!」と熱い言葉で締めくくられ、研究会は大盛況に終わりました。

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研究会を終えて

本研究会にご参加いただいた先生方からご感想をいただきました。

導入校の声
九州・沖縄地区
S高等学校
U先生

ちょうど高2の担当をしていて、共通テストの対策をどのタイミングで始めるか迷っていましたが、早めに始めて意識づけさせるのも一つの手だなと思いました。模試の解説プリント作成や生データの活用も参考にさせていただきます。

導入校の声
四国地区
J高等学校
M先生

有意義な研修をさせていただきました。また今後も、効果的な取り組み事例をご紹介していただければと思います。ありがとうございました。

導入校の声
九州・沖縄地区
S高等学校
S先生

里見先生が熱心な指導をなさっているのが、伝わってきました。共通テストに向けての生徒たちの意識を高めるために悩むところがありましたので、大変参考になりました。


2022年11月12日 取材
2022年12月14日 公開

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