研究会レポート(座談会)『これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会』

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2022年11月5日開催 研究会レポート(座談会)
『これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会』

2022年11月5日(土)オンラインにて『これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会』を開催いたしました。

研究会の詳細

テーマ

これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会
新指導要領を踏まえて、どのように指導を行っていくかでお困りの声を多くお聞きいたします。この研究会では、ご検討を進められている先生方に現時点の状況をご発表いただき、議論することで、先生方と一緒に実践事例や観点を得てまいりました。

パネリスト(学校)紹介

佐伯 佳祐(サエキ ケイスケ)先生
広島市立舟入高等学校 教諭。世界史、歴史総合担当。
1991年、広島県生まれ。大阪大学文学部(倫理学専修)を卒業後、2014年より公立高校で世界史を教え、教員歴は9年目。今年度は新科目「歴史総合」における教材開発と実践を模索。陸上競技部の指導にあたりつつ、自身も競技者として県選手権で連覇中。

井上 明日香(イノウエ アスカ)先生
神奈川県立希望ヶ丘高等学校 教諭。地理総合担当。
教職12年目。同校に今年度より着任。現在は高校1年生を担当。地理の学習を少しでも楽しく、有意義なものとなるように、日々教材研究にいそしむ。また、県内外とわず先生方と授業方法や教材等について情報共有を行い、ブラッシュアップしている。

久世 哲也(クセ テツヤ)先生
東京都立向丘高等学校 主任教諭。公共担当。
2009年千葉大学法政経学部卒業、江崎グリコ株式会社(総合職)入社。2013年江崎グリコ株式会社(総合職)退社、東京都入庁。2017年度東京都教育委員会職員表彰受賞。2019年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。2016年度より法務省 法教育推進協議会 委員を務め、2021年度より東京都教育委員会大学院派遣研修により東京学芸大学にて新科目「公共」における法教育の実践に関する研究を行う。

研究会

研究会 これからの地理総合・歴史総合・公共のご指導を考える会
日時 2022年11月5日(土)14:00~16:00
対象 高等学校・中高一貫校(中等教育学校)の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート(座談会)

パネルディスカッション

  • 時間不足、教科書が終わらないことについて
  • 観点別評価について
  • 他の先生との目線合わせ、専門ではない先生が教える場合のヒント

時間不足、教科書が終わらないことについて

新課程における必修科目の授業では、時間が足らず、教科書が終わらないという声をよくお聞きします。工夫されていることなどがあればお教えください。

井上先生(地理総合)
地理は事例が多く、一つひとつの事例について細かくは指導できない状況です。そこで、一つの事例を取り上げて説明し、それについて生徒に考えさせています。そして、中心的な概念を掴ませて、色々な地域に当てはめていく作業を行っています。地理総合の教科書は最後に「防災」が掲載されており、絶対に学習すべき事項なので、そこに至るまでの学習内容を精査することが大事だと思っています。
佐伯先生(歴史総合)
内容を精選し、幹となる部分を重視して掴ませることが大切だと考えています。歴史総合では生徒に問いを与え、教科書から適切な資料を抜き出すなど、教科書を資料として活用していく授業が必要です。教師にとっても歴史観・歴史事象への認識を再構築していくチャンスとなるので、私も頑張りたいと思っています。
久世先生(公共)
学習単元において大きな問いと小さな問いを設定し、大きな問いにより大局的に単元を捉えることができれば、自然と単元全体の学習につなげることができるのではないかと考えています。また、開かれた学びを実現するためにも、どこかで生徒を信じる勇気をもつ必要もあると思っています。

観点別評価について

観点別評価についてはどのように取り組まれていますか?

井上先生(地理総合)
先程報告させていただいたように、おもに「知識・技能」は定期考査のマークシートの問題、「思考力・判断力・表現力」は定期考査の論述問題で評価しています。「主体的に学習に取り組む態度」はICTを活用した提出物などでみていますが、学校の実態に合わせていく必要があると思います。
久世先生(公共)
観点別評価に変わった際、学校内の教科会では、生徒にどうなってほしいかを教員同士で話し合いました。それが学校のあり方を考えるきっかけにもなりました。そうしたことで、生徒にも胸を張って観点別評価について説明ができました。
佐伯先生(歴史総合)
3観点を1:1:1で評価すると、理論上、各観点がA・A・CやC・C・Aになる場合も出てきてしまうことを懸念していましたが、実際に観点別評価をしてみるとそのような生徒はいませんでした。思考力も知識も主体的な学習態度も大事ですから、それらをリンクさせながら評価できる授業やテストにすることが大事だと思います。

他の先生との目線合わせ、専門ではない先生が教える場合のヒント

同じ学年を持つ他の先生方や、科目の専門ではない先生が教える時に気を付けている点はありますか?

井上先生(地理総合)
地理専門の先生は現在の地理Bや来年以降の地理探究を教える場合が多いので、地理が専門でない先生が地理総合の授業を持つこともあると思います。その場合は、さまざまな媒体で公開されている授業実践や教材を利用して、それを自分の学校に合わせて授業を組み立てていくのがよいと思います。専門ではない先生の場合、苦手意識をもつこともあるかもしれませんが、教師自身が楽しんで学びに向かう姿勢を生徒に見せることが大事だと思います。
佐伯先生(歴史総合)
本校の歴史総合は、もう一人の先生の授業時間負担が多い分、私がプリントを作り授業設計を担当しています。その先生は公民が専門ですが、公民の先生だからこそ柔軟な姿勢で、歴史の内容や経緯に加え、そこからの学びや現在の社会に生きる私たちの目線を加えて教えてくださるので、とてもいいと思いました。今は一致団結して320名に教えている感覚があります。これまでの歴史では、知識を覚えているだけのことが多かったのですが、歴史総合を半年行うなかで高校一年生レベルで知識事項をかみ砕いて社会問題とリンクしながら考えを言葉にできるようになっていると感じています。様々な科目の先生が教える際は、目的意識だけは共有して、そこに至るまでは様々なやり方で授業をやるのがいいと考えています。
久世先生(公共)
専門外の先生が公共の授業をする際には、生徒が現実社会の課題を追求するにあたり、ご自身の専門的な視点を活かすのもいいと思います。公共は汎用的な概念を前提としているので、学ばせる対象は開かれたものとなります。各先生がご自身の専門性を大事にしながら、探究的な面白い問いへ発展させることも可能なはずです。一方で、生徒にとって何が必要かという視点は、各先生が共有しておくことは大事だと感じています。

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研究会を終えて

本研究会にご参加いただいた先生方からご感想をいただきました。

導入校の声
関西(近畿)地区
H高等学校
O先生

新しい科目への取り組みが具体的に報告されたことで大変勉強になりました。次々わいてくる疑問や不安に対する、考えるヒントがいただけてありがたかったです。

導入校の声
甲信越地区
I高等学校
O先生

主体性をどのように評価するかのヒントが得られました。複数の教員で担当する時、目的意識を共有することが大切であるということが分かりました。

導入校の声
中国地区
I高等学校
F先生

自分が担当する授業の話ももちろんですが、他教科の授業づくりの考え方にとても刺激を受けました。今後ともいろいろと情報を共有していただきたいです。


2022年11月 5日 取材
2022年12月19日 公開

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