研究会レポート(今未来手帳)『生徒の自己管理力を高めるには ~埼玉県立草加西高等学校の実践事例~』

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2023年2月17日 開催 研究会レポート(今未来手帳)
『生徒の自己管理力を高めるには ~埼玉県立草加西高等学校の実践事例~』

2023年2月17日(金)、埼玉県立草加西高等学校・細矢良太先生、佐々木伸先生、齊藤貴浩先生をお招きし、オンラインにて「生徒の自己管理力を高めるには ~埼玉県立草加西高等学校の実践事例~」を開催いたしました。ご講演をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

細矢 良太先生(進路指導主事:国語科)
進路指導主事。教員歴13年、草加西高校在籍6年、担当科目は国語。
異動当初から新教育課程の編成や総合的探究の時間の計画を主導。現在は進路指導主事2年目。社会人として活躍できる力を育む進路指導を目標に日々指導と改革に励む。

佐々木 伸先生(3学年進路:英語科)
3学年担任。教員歴4年、草加西高校在籍4年、担当科目は英語。学年進路チーフとして1学年時より学年の進路指導、総合的探究の時間を主導。

齊藤 貴浩先生(3学年進路:体育科)
3学年担任、教員歴9年、草加西高校在籍7年、担当科目は保健体育。今年度より進路指導部に異動し生活指導の観点からも進路指導の在り方を考え手帳指導の中心を担う。

研究会

研究会 生徒の自己管理力を高めるには
~埼玉県立草加西高等学校の実践事例~
日時 2023年2月17日(金)17:00~18:30
対象 全国の高等学校・中高一貫校(中等教育学校)の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

・学校紹介、今未来手帳導入までの経緯/細矢先生
・学年団(教員)への周知/佐々木先生
・生徒への周知/齊藤先生
・今後の課題と展望/細矢先生
・質疑応答

学校紹介、今未来手帳導入までの経緯/細矢先生

埼玉県立草加西高等学校の紹介

埼玉県立草加西高等学校は、部活にも力を入れている全日制の普通科高校で、進路は大学、短大、専門、就職と多種多様です。目指す学校像は「人に優しく、自分に厳しく、社会に貢献できる人間を育てる学校」。生徒指導と進路指導を両輪とし、社会人として活躍できる力と心を磨くことを共通認識としています。

今未来手帳導入までの経緯

これまで様々な取り組みの中で、就職率も上がり、大学進学希望者も増加していたものの、提出物やスケジュール管理には不安がありました。また、本校では学校内での携帯の使用は認められておらず、メモすることが重要となります。受験カレンダーの配布などの工夫もしていましたが、スケジュール忘れはなくなりませんでした。進路多様校だからこそ、生徒ひとりひとりが自覚を持ったスケジュール管理が必要となります。様々な意見を総合し、スケジュール手帳を導入したいと進路指導部より提案しました。

導入に向けた準備

前提として本校には生徒手帳自体はあり、生徒は身分証明として使用しています。今未来手帳を導入する際、手帳指導実施校の情報収集とともに各学年の先生方の意見(特にネガティブな意見)を収集しました。先生方の危惧の中で多かったものは、担任の負担増加でした。学校全体で前向きに取り組みたいと考え、問題解決の道を探りました。令和4年度は、生徒手帳とは別の手帳を購入するとし、購入は第3学年の生徒を対象としました(基本全員購入。すでに自分の手帳を購入し使用しているものは除外)。指導内容は月間ページの自己スケジュール管理とし、担任による回収点検は行わないと決めました。

学年団(教員)への周知/佐々木先生

教員への周知と導入までの流れ

まず必要なことは、教員の不安を取り除くことだと考え、現状の問題点の説明と改善策、導入目的、具体的な指導方針、指導計画を説明しました。手帳使用方針も作成し、学年の教員全員で一つ一つ読んで確認しました。疑問点をあげてもらい、説明と指導方針のブラッシュアップも行いました。11月には3年次への導入が決定し、3月に生徒へ手帳を配付、手帳活用説明会を実施。3年次4月に正式運用を開始しました。

手帳についての教員アンケート(よかった点)

3学年12名の教員を対象にアンケートを実施しました。手帳を導入してよかった点として、生徒はうまく活用できていた、スケジュール管理の意識が向上したという意見がありました。生徒は自ら面接指導の反省を手帳へ記入し、指摘を踏まえて次の面接に向かえました。導入前は教員の負担増が懸念点としてありましたが、同じことを何度も言う必要がなくなったので負担が減りました。私の指導教科である英語科としては、単語テストの日程忘れが減り、勉強をしてくる生徒が増えました。

手帳についての教員アンケート(改善点)

手帳の改善点についてもご意見を伺いました。生徒が見通しを持てるように学校からも早めにアナウンスが必要だという意見がありました。また、ブレイクスルー(草加西高校独自の進路冊子)のメモページ部分は手帳と混同する部分があったので、次年度からはメモ機能は手帳に一本化することにしました。手帳内の面談シートや考査メモなどの活用も、言及してもよかったと感じています。様々な改善点も見つかりましたが、1年間で手帳活用の効果を実感しました。次年度より全学年で手帳を導入します。今後も効果的な活用法を考えながら、手帳指導を行っていこうと考えています。

生徒への周知/齊藤先生

生徒へのプレゼンテーション

生徒の状況から、手帳を渡されても使わないのではと想定されました。そのため、4月中旬に生徒へ「三年生は忙しく、オープンキャンパス、求人票公開、会社見学、試験出願など、色々な予定がつまっていきます。怖い事は、予定の重複、計画性がないこと、忘れることの3つです。書いていれば、予定が重複しても相談することができます。見通しを持った計画が立てられます」というように、手帳は便利だよという内容のプレゼンテーションを実施しました。

生徒アンケート結果

12月に生徒アンケートを実施し、手帳の使用状況を聞くと5段階評価で平均3.8という結果でした。手帳使用用途では、90%以上が進路関係、70%が学校行事、他にも、学習、交友、部活などにも使用していると回答がありました。手帳を導入してよかったこととして複数の生徒が、予定を忘れることがなくなった、提出物の忘れがなくなったなどをあげてくれました。手帳について今後の改善点を聞くと、複数が不満なしで、96.4%が今後も手帳が必要だと思うとも回答してくれました。

担任をやっていて感じたことと反省点

面談・面接のときに持ってきてと言っていたので、手帳をもとに声かけや会話が進みました。そのうち生徒は何も言われなくても手帳を持ってきてくれるようになりました。企業見学、オープンキャンパスなどで必要だと感じることを手帳にメモするようになり、生徒たちの心強い相棒になったのが印象的でした。反省点としては、今未来手帳の全ての機能を使うまでには至らず、ここについてはこれから生徒と会話しながら考えていきたいです。

今後の課題と展望/細矢先生

進路活動における効果

手帳を導入して面接練習や説明会の忘れが激減しました。また、言われなくても自主的にメモを取るようになり、聞くという行為が能動的になりました。企業・上級学校でも、手帳をもって聞く態度、メモを取る姿勢は高評価です。就職内定率はハンディ進路指導室(求人管理システム)との併用で1月の段階で内定率100%となっています。上位大学への合格者数も増えたのは、見通しを立てた計画ができたからこそだと思います。先日、2年生に3年生が講話をしたのですが、多くの3年生が手帳を見返しながら話してくれていました。

今後の課題と展望

今後も生徒手帳との一体化は行わない方針です。校則・身分証明書が生徒手帳、今未来手帳は自己スケジュール管理などと使い分けをし、よりよく長く使ってほしいと感じています。これから一人一台タブレットの導入も行われますが、紙の手帳を使い続ける予定です。聞いたことをメモし、思い出すことで思考力が育ちます。これは社会人になるために必要な力だと思います。「社会人として活躍するために必要な力を養う」という共通理解からぶれないように今後も手帳指導を続けたいと思っています。

質疑応答

質疑応答では、事前アンケートでお寄せいただいた質問を弊社からお聞きしていきました。

進行役
手帳使用校から、生徒に飽きずに継続させるための工夫、長続きさせるコツを知りたい、とご質問をいただいていますがいかがでしょうか?また声掛けの工夫があれば教えてください。
佐々木先生
生徒に継続して使用してもらうためには、頻繁に手帳を使える機会と、使えているか把握のためのやりとりが必要になると思います。生徒にスケジュールを聞いてみると、スケジュール管理ができているかわかります。できていない際に、こちらから強制的な言い方はせず、「書いておいたほうがいいよ」と自然に伝えるだけでも継続していけるかと思います。導入の目的を伝えることも大切です。セルフマネージメント能力の向上と見通しを持つために予定を把握することが必要だと集会でも伝えていました。
齊藤先生
面談の時、「あなたの今後の予定を教えて」という声かけをしています。また予定をきちんと書いている生徒は褒めます。教室内での工夫の一つは、「手帳メモ」というマグネットを黒板の端に貼り、定期テストや小テストなど、手帳にメモしてほしい予定を書くようにしていました。集会では手帳を持ち物とし、朝のHRでも手帳を開かせていましたが手帳指導で生徒を追い込まないように工夫していました。
進行役
先生方が、ここでメモを取ろうね、ここを見たら自然に書けるよね、と流れを作っていたのが良いと感じました。次はアナログとデジタルについての質問です。次年度、草加西高校では全員がタブレットを持つ学年がスタートします。紙とデジタルの使い分け方法など予定されている部分があればもう少し教えてください。
細矢先生
紙の方が良いこと、デジタルのほうが良いことは学校の中で精査し、目的を持ってデジタルも活用したいです。具体的にはタブレットで相性の良い教科は積極的に使用する予定です。相性が悪ければ使ってみる工夫はするが無理に使う必要はない。また、即効性や分析を必要とするものはデジタル。じっくり考える、思考を構築する、暗記することはデジタルを入れるせいでその能力をとめてしまう可能性があるため意図的に「面倒」を作ろうと進路指導部で考えています。
佐々木先生
スケジュール管理は紙でと考えていて、デジタルの併用は考えていません。授業では、私の担当教科である英語とデジタルは相性がいいと思っています。次年度はタブレットでリスニングをするなど、授業でもデジタルを取り入れながら効果的に使っていきたいと考えています。
進行役
最後に、今後に向けての目標があれば教えてください。
細矢先生
ここ数年、生徒たちがワンランク上をめざすしかけを学校でつくり、生徒が乗ってきてくれていると感じています。生徒は大人になった時にどんな姿で活躍していたいかにこだわりつづけてほしいです。進路でも、生徒はやりたい事、行きたい学校を固めてから担任と話しています。これからも一人一人の生徒がこだわりを持ち、10年後の夢を追いかけられるような声掛けや指導体制を大事にしていきたいです。
進行役
こちらも勇気づけられるお話ばかりでした。3名の先生方、本日はありがとうございました。

2023年 2月17日 開催
2023年 4月 5日 公開

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