指導事例 新課程での指導事例 座談会 第二回

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Learn-S 指導事例【低学年】新課程における指導の在り方を考える座談会 第ニ回

指導事例 vol.031

さまざまな学校課題や指導テーマに対して指導を工夫されている先生方に取材を行い、その実践をご紹介する連載企画「指導事例」。

一年を通じた低学年の新課程指導事例をお伺いするため、第1回は入学時から1学期の指導についてお話をうかがいました。今回は、夏休み前後の指導と学校行事を含めた2学期の指導を中心にお話をうかがいました。これからの共通テスト・進路実現に向けた大学受験指導のご参考になれば幸いです。

新課程での指導事例 座談会 第ニ回

石鍋 雄大先生
東京都立大泉高等学校附属中学校主任教諭。国語指導担当。
教職歴10年、同校に赴任して6年目。現在は1学年の「言語文化」・「現代の国語」を担当。「楽しくて力の付く授業」を目指して授業デザインを行っている。 コロナ禍の現在は、ICTの使用や外部との連携を通して、生徒が教室の外に目を向けられるような授業を目標としている。

落合 一大先生
岐阜県立大垣北高等学校教諭。数学指導担当。
教職歴22年、同校に赴任して6年目。現在は高校1年生の学年主任を担当。前任校は3年間の県外交流として鹿児島県内に赴任。生徒に主体的に考えさせる数学の指導法の確立に尽力している。また、校内のICT推進担当として、授業や校務におけるICT化にも力を入れている。

徳永 拓也先生
福岡県立筑紫丘高等学校教諭。英語指導担当。
教職歴13年、同校に赴任して3年目。現在は高校1年生を担当。ICTを活用しながら、母校でもある現任校で学年の先生方とチームとなり生徒の英語力向上に努めている。また、英語教育今井塾やチームキムタツをはじめとする県内外の研修会に参加し、より良い授業を日々探求している。

01. 夏休み前後の指導と振り返りについて

学校や学年で集まる行事ができたことによる一体感も

進行役
夏休みの振り返りと夏休み明けの様子などを教えてください。
石鍋先生(国語)
今年は夏休みの課題を出さなかったのですが、生徒は楽しく過ごしつつも、危機感を持つ生徒は自ら苦手なところを学習していました。中高一貫校では高1は中だるみしやすい時期ですが、課題を出しすぎていないせいか、中だるみ感はありませんでした。
落合先生(数学)
夏休みの課題は例年通りで、夏休み明けに3年ぶりの文化祭がありました。行事の力は大きく、生徒は、とりあえず動くことの大切さや、周りがうけとめてくれる安全・安心な環境も確認できたと思います。また、集合しての学年集会が3年ぶりに実施でき、勉強に対する基礎・基本や、学習の取り組み方の話もできました。
徳永先生(英語)
九州地区は夏期補習があり、実質的な夏休みの日数は少ないです。夏休み前には、生徒に目標を設定してもらっていました。計画を立てた課題は例年より取り組めていましたが、プラスアルファが難しかったようです。夏休み明けは体育祭があり、今年はコロナ前に近い形で実施でき、一体感もあり感動しました。夏休み明けの実力考査後、実力考査と模試(7月)の振り返りを学年集会で実施しました。 模試の状況、弱い部分、今やるべきことなどを各教科担当から伝え、効果も感じました。生徒だけでなく教員の目線合わせにもなりました。
進行役
学校行事を通じて得られるさまざまな経験や実感は、その後の学習を支える基盤になると思いました。節目のタイミングで学年として振り返りの場を持つことも、先生同士、そして先生と生徒の目線も揃いますね。

02. 2学期の指導について

1学期に積み残したことを中心に指導を組みなおす

進行役
普段の授業や教科指導のところで新課程での2学期になって、新たにされことや1学期から継続的にされていることがあれば教えてください。
石鍋先生(国語)
カリキュラムが変更になったことによって、1学期には、「言語文化」の中で古文の時間が足りず、2学期は積み残した古文を中心に指導を組みなおしています。また本校では来年度の選択科目を決めなければならない時期ですが、理系に進む生徒たちには、2年生で「文学国語」がありませんので、文学を扱うのは高1で最後となります。そこも念頭に置きながら不足していた部分の補足をしようと思っています。
落合先生(数学)
学習計画表や勉強ノートなどをお互いに見せあうような、生徒同士の勉強の濃度を確認しあう時間を作っています。数学については、定期テストの範囲を直近の学習範囲だけでなく「習った範囲全部」としました。後期の中間考査は、前期(復習)の範囲は5割でしたが、学年末はこれを7割まで上げたいです。端から端まで出すと負荷が大きいので、毎日二問ずつやっている演習プリントから優先度の高いものを出題します。いろいろなところで何度も使うことになるような問題です。また、定期考査では既習範囲から思考問題を出し、最近学習した範囲は知識問題や基本問題を出します。
徳永先生(英語)
1年生の授業は、今年度は一貫して、基礎基本を中心として、特に語彙に力をいれています。今年の終わりもしくは来年からディベートも実施したいので今は土台作りの段階です。また、英文解釈にも注力しています。比較的レベルが高い生徒が多いので、文法は予習中心にしても、わからないところを解説すればできると思っています。

03. 模試の位置づけ

過年度で比較できる重要なデータ

進行役
模試の位置づけをお聞きしたいです。教科指導としての視点もあれば教えてください。
石鍋先生(国語)
新課程になり、さまざまなことが変わった中で、過年度比較(同じ時期に前の学年と比較)ができる模試は非常に重要だと感じています。学習活動が生徒中心になったり、教科書の内容が変化する中で、少ない時間内で生徒に力をつけられているのか、自分の授業の振り返りを模試の結果が見せてくれます。ここは昔も今も変わらず、ありがたく思っています。
落合先生(数学)
はじめて見たことに対してどう取り組むかを考えられる状態を目指したいので、事後指導を強化していきたいです。この時期の模試では、低得点層が減っているかに注目しています。1年生で思うように結果が出ないと、そこからその教科の学習が消極的になる可能性があるので、そうならないように対策しているつもりです。それがうまくいっているかも見ています。また、2年生の最後のマーク模試に出てくるであろう教科「情報」の対策についてはどうするか悩んでいます。
徳永先生(英語)
教科「情報」に関しては私も不安です。不安だからこそ対応できるように、他教科のできることを早めに進めていきたいと感じています。模試に関しては、過年度と比べられるはすごく大きいですね。生徒はよくついてきているので、さらに結果が出ることで身になっていると実感してほしいです。7月模試は中学の実績もあるので、高校のがんばりが成績に反映される11月模試を見て学力と学習状況を把握したいです。
進行役
過年度で経過をみられる模試の役割を再確認できました。また、先生方が気になっている教科「情報」が入るのは大きく、早い段階で国数英を完成させるなど対応が必要となりそうですね。

04. 冬休み~学年終わりに目指す状態

期間の短い冬休みは課題を絞って出す

進行役
学年終わりに目指す状態にむけて、冬休みの計画があれば教えてください。
石鍋先生(国語)
模試でどの程度知識がついたかわかるので、長期休みを使いながら知識の定着をめざし、3学期につなげて行けたらと思っています。国語の場合は11月模試の結果が返ってくると、データを見せながら声をかけていきます。中高一貫校だからこそある、中学からの学力推移調査の蓄積データも使って事実ベースで伝えていこうと思っています。冬休みは短いのでこちらで課題を絞って出そうと思っています。
落合先生(数学)
学習計画、模試、定期考査を踏まえた計画を保護者に対して宣言してもらおうと思っています。冬休みを見て、学年の終わりに面談をしたいです。クラス担任ではなく教科担当から、気になる生徒や、もっといけると思える生徒、希望者などをピックアップして面談していき、二年生への弾みをつけたいです。
徳永先生(英語)
冬休みは夏休みにできなかったことへの再チャレンジをしたいです。課題は、引き続き予習にしようかと思っています。また、自分で達成感を持ってほしいので英検を受けるなど主体的に取り組めるといいですね。年度終わりに向けては、共通テストを受けさせてみて、あと2年で高めなければならない点数を実感させていきたいです。ディベートなども含め、身につけてきたことを使う楽しさを感じてもらい、1月以降の成績につなげたいです。

05. 新カリキュラムの文理選択への影響

文理選択が「文学国語」の履修に影響。地歴公民の負担増で文転には注意が必要

進行役
新課程カリキュラムになって文理選択に影響は出ましたか?
石鍋先生(国語)
本校の場合は、新カリキュラムになって、今の段階で「化学」か「文学国語」のいずれかを履修する選択をしなければなりませんので、文理選択は重要です。夏のオープンキャンパスも推進し、進路調査もすでに3回実施して、面談も行っています。生徒はより早く進路を意識しなければなりません。
落合先生(数学)
文理選択にはクラス担任の影響も少なからずあるかなと感じています。コロナ禍の影響で東京大学見学ツアーを中止したことがどう影響したかわかりませんが、東大が向いているのではないかと思うような生徒は、東大をツアーで直接見せてあげたかったと思いますね。
徳永先生(英語)
今年は当初理系希望が多かったです。文転を見据えている生徒もいましたが、新しいカリキュラムは「とりあえず理系希望」だと危ない。新課程では共通テストに必要な地歴公民の標準単位数が増えるので以前に比べて簡単に文転できず、注意が必要です。
進行役
新カリキュラムになり、これまで以上に文理選択の影響が大きくなるのかもしれませんね。

06. 試作問題について

新指導要領の方向性に合致した授業で十分対応できると感じた

進行役
令和7年度共通テストの試作問題についての感想があれば教えてください。
石鍋先生(国語)
実は今日、生徒と一緒に解きましたが、生徒は比較的、時間に余裕を持って解けている印象でした。難易度についても過半数は普通~簡単という印象で、満点も多く、1~2問ミスがほとんどです。やり方さえ教えてしまえば十分対応できると思いました。
落合先生(数学)
まだ見ただけですが、数学は目玉になっている問題は予想通りかなと感じます。大きな2分野を大問にまとめているところは内容が浅くなりがちなので、そこはねらい目かと思いました。
徳永先生(英語)
まだ見て講評を読んだ段階ですが、英語はディベートでやるような内容で、指導要領の方向性と合致しているのではないかと思いました。
進行役
今回もあっという間の時間でした。新課程ならではの意見についても大変勉強になりました。先生方のお時間が許せば次回もぜひ開催したいと思います。本日はありがとうございました。

学校紹介

東京都立大泉高等学校
1学年約120名、2021年度のおもな進路状況:国公立大43名、(うち難関国立大7名)

岐阜県立大垣北高等学校
1学年約320名、2021年度のおもな進路状況:国公立大200名、(うち難関国立大50名)

福岡県立筑紫丘高等学校
1学年約440名、2021年度のおもな進路状況:国公立大227名、(うち難関国立大106名)

編集後記

営業担当

新課程で変化したことがある一方で、これまでと変わらないご指導の軸足もよりはっきりと見えてきたように思います。次回は1年生の振り返りと、2年生にむけての展望について、対話を重ねていければと考えております。

2022年12月 取材
2022年12月22日 公開

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