【国語】研究会レポート「論理的読解の意識付けと授業実践」| 株式会社ラーンズ

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【国語】研究会レポート「論理的読解の意識付けと授業実践」

論理的読解の意識付けと授業実践

【国語】研究会レポート「論理的読解の意識付けと授業実践」

研究会の概要
ラーンズ 研究会レポート Vol.007 国語@大阪
ラーンズ マーケティング・営業部です。
2017年9月24日(日)に大阪で「生徒の『論理的思考力を鍛える』指導 ~読解する方法を身につけるには~」と題する研究会を開催しました。
昨今大きく変化してきている高等学校を取り巻く環境の中で「希望進路実現のために生徒が主体性を持ち、効果的且つ効率的な学習スタイルを確立すること」これを実現させることは高等学校において大切なテーマになっております。 そこでこのたび、当勉強会では高校生の実践的な「論理的思考」に着目し、生徒に伝えたいことを指導の「実践事例」を通じてお伝えする【論理的思考力を鍛える指導研究会~読解する方法を身につけるには~】を企画させていただきました。

研究会 テーマ
大阪高等学校の紹介
論理的読解の意識付け



先生のプロフィール
先生のプロフィール

北村 恭崇先生
大阪高等学校。
京都に生まれる。高校在学中、生徒会活動に没頭し、自身が教壇に立ちたいという気持ちが生じる。しかし教員生活最初の3年間は失敗の連続。そのどん底から、教員の基本である授業力強化を目指し模索する。国語の根底にあるのは「論理」であるとの結論に達し、1学年15クラス以上ある私立中堅校(多様校)で、全クラス統一した現代文授業を作り上げ、実践している。モットーを「取り組みに魂を込める」とし、常にトップクラスの授業評価で現場を牽引している。

大阪高等学校の紹介

創立90周年間近の元男子校で、併設中学・大学はありません。多様な生徒たちの進路には日々悩んでいますが、95%の生徒は進路を現役で決定しており、そのうち大学進学は70%です。入学時の大学進学希望者は40%ぐらいしかいません。特進でも偏差値47、総合は偏差値42とネットでは表記されています。そういう学校の実践と考えていただけたらと思います。

大阪高校の強みを作ろうということで、今年度より重点的な指標として考えたのが「Study」と「Collaborate」です。「Study」というのは諸説ありますが、「Stand」からきているとも言われています。「自立して学ぶ」ということを意識してもらおうとしています。そして、「Collaborate」。「co」は「共通の・相互の」という接頭語、「labor」は「骨の折れる労働」であり、みんなで共同して大変な仕事をやりとげるという意味があるそうです。進学に目が向いていない生徒たちではありますが、このような指標を大切にしながら、生徒を学びに向き合わせていきたい。それが大学進学の70%にもつながっていると考えています。この方向性をさらに加速させていきたいところですが、定員割れ時代の影響でベテランの先生が少なく若手教員が多いため、教員の経験差が課題となっています。できるだけ先生によっての違いがなくなることを意識しながら、現代文の授業を進めています。


論理的読解の意識付け

【国語】研究会レポート「論理的読解の意識付けと授業実践」

国語科としての共通項を作り上げていく実践

生徒たちに、論理的に読むとはどういうことかという意識付けがないと絶対に現代文は成功しません。ノートをきちんととって、定期考査前にそのノートを覚えれば点数が取れると勘違いしてきてしまっている生徒もいます。そうじゃない、大阪高校の現代文は論理力を身につけるものだという意識付けを大事にしています。論理力、型を身につけさせることが最初の狙いです。「初見の文章を正確に理解できるようになろう」と生徒たちに伝えます。テストを受けるにしても自分で本を読むにしても、初めて見る文章を自分の力で理解できなければ意味がありません。そのために、まずは文章構造を意識させること。「イコールの関係」「対立・対比の関係」「因果関係」という三つの関係性をきちんと読み取れるようなってほしい。そのために、本文マークというものを作っています。たった四つの記号ですが、これを国語科で共通にしています。論理ということを必ず意識させるような声かけをしていくというのが、大事なことだと思っています。

また、大阪高校では、授業で扱った教材は定期テストに出題していません。初めて見る文章を読めるようになってほしいというメッセージを定期考査の中にも込めます。これも国語科の共通にしています。


ソウトレ(基礎からの総合トレーニング)問題演習 授業実践

論理ということを重要視していますので、テクニックに走るのではなくて、まずは文章の論理構造をきちんと理解して、それから問題を解くという流れで取り組んでいます。そのときに文章の構造図というのを生徒に作成させます。これを作るためにどんなふうに授業展開をしているのかということですが、当然、本文を読むところから始めます。形式段落ごとに番号を振らせて、ペアワークをさせます。漢字が読めたかどうかもお互いチェックし合います。漢検3級が中学卒業レベルですが、高3になってやっと3級合格というのがうちの総合コースでのレベルなので、漢字が読めているかどうかは大切にしています。間違えそうな漢字は、前もって読みや意味を解説します。それから構造図を作らせます。そのときにやりやすいのは対比の関係です。AとBの対比というのはわかりやすいので、Aの特徴を書きなさい、Bの特徴を書きなさいということを導入で示していきます。本文マークだけ指し示して、自分自身で構造図を作ることが現代文の力がつくということを繰り返し言っています。そうすると2学期には、黙々と自分でやれるようになっていきます。構造図は平常点に入れるという言い方をして、やらざるを得ない状況も作ります。そうやって最初から意識して仕組んでいけば、大阪高校の生徒でもできるようになります。生徒自身で構造図を作成した後、私のほうで解説をしながら板書をして、模範解答もノートに写させます。問題を解かせていた場合にはその解説も同時に行っていきます。そのうえで、グループワークにも取り組んでいます。


グループワークについて

グループワークの目的は、生徒自らが説明する機会を作ること。答えを出すからには、筋道を自分で言えるようにならないといけないと常々言っています。きちんと考えて間違えたのなら、間違えたところが何だったかがわかるようになります。意識をさせないと生徒はそこまで考えて解いてくれません。私自身も上手く言っているとは言い難い部分はありますが、実験段階として紹介させていただきます。

手順としては、最初に必ず個人ワークを入れます。いきなりグループで考えさせると、どうしてもフリーライダーが出ます。そういう生徒が関係ない話をし始めて、まじめに考えたい生徒が上手く取り組めなくなってしまうということもあります。ですので、まず自分で考える時間を作ります。次に、自分の考えを書かせます。最初から「話そう」と言うとなかなか話せないグループも出てきます。そんなときは、自分で考えた解説を文章化し、その紙を右の人に渡すようにすると、考えたことが確実に伝わります。まずは必ず個人で取り組みをさせます。そのあとグループで解答の筋道を考えます。基本的に4人か3人。生徒には、お互いに意見交換をするときに自分の考えが言語化されて、もう一回自分の思考をたどることになることが大事だと言います。大切なのは対話です。単なるコミュニケーションや会話ではなく、深めていったり批判できたりということです。グループで説明をお互いにさせて、1枚のA4用紙に答えを書かせます。それを黒板に張り出し、解答がグループによって違ったら、同じ文章を読んでいるのになぜ違うんだろうということを授業でフィードバックしていきます。同じ間違いが多いと、その共通点は何かをフィードバックしやすくなります。そして最後は振り返りシート。自分自身で学びを確認して記憶してほしいと思い、授業の最後に実施します。そのことによって、教員も本時の狙いは何だったかを意識します。コメントもできるだけ返しています。ハンコを押すだけでも、線を引くだけでも、生徒は読んでいるとわかってくれます。


研究会の感想
ラーンズ企画制作部 国語編集課 大野 那津子より
スピード感あふれる関西弁でお話しされ、ご講演の時間があっと言う間に過ぎていったように思います。「論理的読解」の意識付けのために、同じ国語科の先生方と一緒に日々実践されていることをお話しくださり、学校全体で同じ目標に向かっている様子が伝わってきました。レポートでは書ききれませんでしたが、ラブレターを論理的に読む例など、会場の先生方や私たちも引き込まれ、実際に北村先生の授業を受けているような気分になりました。「論理的読解」を大切に思う気持ちは私たちも同じです。今後の教材づくりのヒントと元気をいただきました。ありがとうございました。

※先生方のプロフィールは研究会当時のものです。


2017年10月30日 公開