研究会レポート(英語)2022年度『Listening&Speaking Training Seminar』

PICK UP
研究会

研究会情報

指導事例・研究会レポート
Web会員限定コンテンツ
2022年9月23日開催 研究会レポート(英語)
2022年度『Listening&Speaking Training Seminar』

2022年9月23日(金)、木村 達哉先生をお招きし、オンラインにて「生徒が自宅でできるリスニング・スピーキングのトレーニング」を開催いたしました。今回は特別ゲストとして「Listening&Speaking Training Seminar」をご活用頂いた小笠原 良浩先生と木村先生との具体的な活用法等についてもご対談いただきました。ご講演とご対談の内容をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

木村 達哉先生
英語教師として西大和学園中学校・高等学校、灘中学校・高等学校で教鞭を執り、2021年4月より作家として本格的な活動を開始。その傍ら、全国各地の中学校・高等学校での講演会も行い、英語の先生の指導力向上を目指す「英語教師塾」や、福島・沖縄の生徒支援を目的とした勉強会「学びのネットワーク」を開催するなど、人との「縁」を大切にした活動を続けている。 著書は『Listening&Speaking Training Seminar』(ベネッセコーポレーション)、『ユメタン』シリーズ(アルク)など多数。

小笠原 良浩先生
東洋大学附属姫路中学高等学校 英語科教諭。
英語教師として兵庫県公立高等学校に33年間勤務。2018年4月より現職。2009年からチームキムタツのメンバー。授業にICTとペアワークを取り入れ、生徒の言語活動が中心となる授業を展開している。

研究会

研究会 2022年度『Listening&Speaking Training Seminar』
講師 作家
元 灘中学・高等学校 英語科教諭
木村 達哉先生

東洋大学附属姫路中学高等学校 英語科教諭
小笠原 良浩先生
日時 2022年9月23日(金・祝)14:00~16:00
対象 高等学校・中高一貫校(中等教育学校)の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

  • 英語が聞き取れるために
  • 英語が話せるために
  • リスニング・スピーキングの家庭学習(ご講演まとめ)
  • 木村達哉先生×小笠原良浩先生 ご対談
  • ご対談まとめ

英語が聞き取れるために

リスニングのトレーニング方法

リスニングのトレーニング方法は、(1)ディクテーション、(2)リーディング、(3)オーバーラッピング、(4)シャドーイング、(5)バックトランスレーションであるとお伝えいただきました。「英語といえばリーディング中心」の授業から、「英語といえばリスニング中心」の授業にすることで、英語力が総合的に身についていくとお感じになられているそうです。

英語が話せるために

まずは正しく書けること

スピーキングでは、まず、正しく書けるのかが重要だそうです。ゆっくりでもまずその英文を書けるのかを確認してください。木村先生が実践されていた方法のうちの一つは、ALTの先生に、生徒の自由英作文の間違っているところに赤線だけを引いてもらい、生徒はそれを自分でなんとか正しい英文に直していくという方法です。スピーキングでは、最低でも書くまではやろう、と指導されていたそうです。

求められる教員のリスニング力

また、スピーキングでは、教員にリスニング力があるかが大事だそうです。教員もリスニングの勉強を継続し、英語の耳を維持しましょう。

リスニング・スピーキングの家庭学習(ご講演まとめ)

リスニングに関しては、まず語彙力を増やす努力をすること。そして、トレーニング方法を生徒に教えることです。家庭学習と言っても、休み時間を活用してもいい。スマートフォンに入れてイヤホンできいて音読する生徒もいたそうです。毎日続け、量をこなしていくことが大事ではないかとお話しいただきました。

またスピーキングに関しては、授業をオールイングリッシュにしても、生徒のスピーキング力は上がりません。自由英作文とセットでトレーニングするといいのではないかとお伝えいただきました。

木村達哉先生×小笠原良浩先生 ご対談

実際に『Listening&Speaking Training Seminar』(以下トレセミ)をご活用頂いている小笠原良浩先生と、具体的な活用法や先生方からの質問についてご対談していただきました。


小笠原先生
私はトレセミを3年使っています。分量もよく、中堅私大~国公立志望まで幅広く使用しています。使いかたマニュアルもついているので使いやすく、生徒にも評判がいいです。
木村先生
365日中360日は音読し、流暢に読めないとリスニング力はあがりません。オーバーラッピングも大事だと思います。小笠原先生は、生徒のリスニング力を伸ばすために何をされていますか? 家庭学習はいかがでしょうか?
小笠原先生
音読スピードが出せる指導を継続しています。家庭学習では生徒はうまくICTを活用して音読しています。授業で最初の五分はクイックレスポンスで単語力を高めるトレーニングもしていました。トレセミと併用して、英語テキストの音読なども実施していくことで、生徒の力をある程度伸ばせたのではないかと感じています。また、生徒も音読すればわかるようになると実感していきます。音読しているから成績がのびるとわかると、他の生徒も音読するようになっていくと思います。
木村先生
ここからは先生方からいただいた質問にうつりましょう。

Q.
記述模試で文法・語彙力の点数がとれても、リスニングができない生徒について

木村先生
リスニングでは即座に言えること、そして、正しく発音できる指導がどれほど積み上げられるかが大事です。早読みにしても、リンキングをする練習をしないとだめです。もしリーディングはできるならトレーニング不足ではないかとも感じます。それは一度音読させ、ジャングリッシュならリスニングはできないだろうなとわかります。

Q.
英語の授業ではトレーニング不足になるので、自宅学習につなげたい。
自主的・持続的に学習できる効果的な指導法とは?

木村先生
家で帰ってからやらなくていいくらい親切に授業で全部教えてしまわないほうがいいですね。
小笠原先生
トレーニング方法を授業できちんと伝え、半分授業、半分自宅と分けてみてはいかがでしょうか。繰り返し学習をどれだけ生徒にやらせるかに主眼をおいて、意識して授業を組み立てていくといいと思います。

Q.
長い英文を一度で聞いて解答するのが苦手な生徒について

木村先生
長さに関しては、リスニング力があっても集中力がきれてしまうこともあります。これは、少しずつ伸ばすことしかできません。100、200、300語と段階的にリスニングの体力をつけていきます。東大入試は600語ですが、そうなると対応できるリスニング教材はありませんのでリーディング教材を活用すればいいと思います。
小笠原先生
私はトレセミ2と、教科書、リーディング問題集を音読させていました。卒業生をみていると単語力と音読力をつけることしかないと思います。今、私は中1を担当しているのですが、単語をとにかく音読させ、クイックレスポンスで単語力を鍛えています。音読の仕方を工夫し、飽きない音読を考えながらやっていきたいです。

ご対談まとめ

「まずはモチベーションの高い子の実力はきちんとつけられているのかが大事です。英語は、やりたくないならやらないでも生きていけると思いますが、日本は30年後には人口1億人を切る。今後日本の企業であっても、アメリカの企業が親会社になって取締役はアメリカ人という事態も考えられます。できれば英語の先生がそういうことは生徒に教えてあげられればいいなと思います。ヒントとして私のYoutubeでもそのような話も公開していますのでよければご覧ください」と木村先生は締めくくられ、研究会は大盛況に終わりました。

Web会員限定コンテンツ

LIVE配信を録画した研究会映像や、講師先生の配布資料などを、弊社のWeb会員限定で公開しております。会員の方は下記「Web会員限定コンテンツを見る」よりログインしてご覧ください。
Web会員への登録がまだの方は、ぜひこの機会にご登録ください。

 Web会員限定コンテンツを見る  

研究会を終えて

本研究会にご参加いただいた先生方からご感想をいただきました。

導入校の声
北海道・東北地区
E高等学校
E先生

なぜ、そのtrainingをさせるのか、なぜ授業でさせるのか、どこまでさせるのか、などの本質をついたお話や、具体的な教材使用の時期や、やる気のある生徒やない生徒に対して教師はどのようにむきあうべきかなど、とても参考になるお話が聞けました。

導入校の声
関西地区
J高等学校
K先生

英語を「聞くこと」と「話すこと」について、トレセミを使って、具体的に詳しくトレーニングをする方法が分かった。いつもながら、楽しく、飽きさせない話術で、著者ならではの意図を踏まえた活用法を教えていただけた。

導入校の声
北海道・東北地区
H高等学校
I先生

自分でも悩んでいるトピックでのお話が結構あり、先生方のご意見を聞いて、自分の生徒に対する考え方は間違っていなかったのだと確信できました。今日のお二人の対談でのご意見は力になりました。ありがとうございました。


2022年9月 取材
2022年11月3日 公開

おすすめの教材

『Listening & Speaking Training Seminar』