研究会レポート(数学)『2022大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例』

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2022年2月26日 開催 研究会レポート(数学)
『2022大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例』

2022年2月26日(土)、名城大学 教職センター教授・竹内 英人先生をお招きし、オンラインにて「2023大学入学共通テストに求められるチカラとは(数学)」を開催いたしました。ご講演の内容をレポートいたします。

研究会の詳細

講師紹介

竹内 英人先生
名城大学 数学教育研究分野。
現在は、名城大学 教職センター教授(元愛知県公立高校教員)として、将来、中学校、高校の数学の教員を目指す学生を指導している。新入試(テスト)に向けた数学指導やアクティブラーニングについて研究・実践指導を行う。 また、学校、塾、予備校、企業の垣根を取り払った勉強会を定期的に開催しつつ、全国の高校や塾、予備校に出前授業や教員研修を行っている。著書は「重要問題演習」(ベネッセコーポレーション)、「キミが学びを深める 数学Ⅱ・B」(ベネッセコーポレーション)、中学校・高等学校数学検定教科書、「 フォーカスゴールド」( 啓林館)など多数執筆。

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研究会 2023大学入学共通テストに求められるチカラとは
~2022大学入学共通テストの問題分析のご報告と指導事例のご講演~
講師 名城大学 数学教育研究分野 竹内 英人
日時 2022年2月26日(土)14:30~16:40
対象 2023大学入学共通テストをご指導される高等学校の先生
開催形式 ZoomでのLIVE配信

研究会レポート

講演の主な内容

・2022年度大学入学共通テスト全体的な特徴
・共通テスト問題解説
・2022年度共通テスト数学の感想
・教員として何ができるか
・竹内先生メッセージ ~前向きに数学の勉強・指導法を追及してほしい~

2022年度大学入学共通テスト全体的な特徴

まず、2022年度大学入学共通テスト数学の全体的な特徴をお伝えいただきました。第1回目と比べ大幅に難化した試験でしたが、それだけでなく、高得点や満点の人数も大幅に減少したそうです。特にややできる子~中間層に関して得点差が出にくかった問題ともいえ、受験生にとっても教員にとっても厳しい試験だったのではないかと竹内先生はお感じになられたそうです。

しかし、問題の内容を詳しく見ていくと、より『新学習指導要領』を意識した出題となっていたそうです。また、教科書等で扱われていない数学の定理等を、既知の知識等を活用しながら導くことができるような題材でもあったとお話しいただきました。

共通テスト問題解説

今年度共通テスト数学のキーワードを挙げると『3つの【ゆう】=誘導、融合、有名』だったとお伝えいただきました。中でも数学ⅠAは誘導で、ⅡBは融合が中心となっていたと竹内先生はお感じになられたそうです。

その後、竹内先生より、2022年度実施の共通テスト数学に関して、問題ごとの詳しい解説をしていただきました。

詳しい解説につきましては、下記より録画映像をご覧ください。

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20220年度共通テスト数学の感想

数学ⅠAについて

数学ⅠAは『誘導』があり、それを活用させる問題が目立ったそうです。しかしながら、今年は誘導自体があまりよいとは言えず、生徒も混乱したのではないかと、竹内先生はお感じになられたそうです。

ただ、ここで問題やテスト自体を否定するのではなく、「今年度の数学ⅠAの難易度が今後も続いた場合、生徒を泣かせないために教員側は何をするのか?」という視点で考えることが大事だとお伝えいただきました。

数学ⅡBについて

数学ⅡBは、ⅠAに比べると難易度は低く、昨年の問題に比べて共通テスト色が強くなったとお感じになられたそうです。ⅡBの難易度のバランスは良く、視覚的な要素が強い問題、そして、融合問題が多かったとお話しいただきました。

数学ⅡBは範囲も広く、全ての分野からの出題ができないため、融合させた出題が目立つのではないかと分析もしていただきました。ただし、融合させられる分野は決まっているので、どのような融合問題が出るのかは予想しやすいともお伝えいただきました。

全体の総括

竹内先生は今年度の共通テストを見て、「共通テスト型問題集を大量に解かせるだけの指導」では通用しない。「生徒たちに正しい努力をさせて来たか?」と自分に問われ、自分の指導スタイルを変えなければいけないとご実感されたそうです。

また、来年度以降、難易度的には穏やかな出題になったとしても、コンセプトや方針自体は今年度と変わることはない、とお伝えいただきました。

教員として何ができるか

今回のようなテストでも生徒が対応できるように、「単なる問題演習」ではなく「正しい学習法を伝えていくこと」こそが必要ではないかとお伝えいただきました。それは、解法パターンの「丸暗記学習」から、「考え方を理解する学習」への転換でもあるそうです。そのために、授業の中では大量に問題を解くというよりも、よりじっくり一問一問をこなすことが必要となるのではないかとお話しされました。

また、その中で別解を考える癖をつけることも大事だと竹内先生はお感じになられたそうです。他にも多様な思考や融合問題への対応、具体的な事例から一般化できる力の育成や、図やグラフで視覚的に考える訓練など、様々なことが求められているとお伝えいただきました。

それらに対応するための有効な手立てとしては、まずは「計算力強化」だと竹内先生はお感じになられたそうです。他にも、文章題を素早くよみとる瞬発力を育成するための音読など、自分がまずやってみて、効果があれば生徒への指導に取り入れたいと計画されているそうです。

竹内先生メッセージ ~前向きに数学の勉強・指導方を追求してほしい~

竹内先生の研究会の中で特に人気のある「来年度出題が予想される問題」につきましては、夏から秋にかけて開催する研究会の中でお話しする予定にしてくださっているそうです。お楽しみにお待ちください。

『間違いなく言えることは、「共通テストは決まったコンセプトの中から出題される」ということです。新学習指導要領を見直し、問題と照らし合わせて考えてみましょう。今回の共通テストの状況を受けて、自分のこれまでの指導を振り返ってみると同時に、ぜひ前向きに、数学の勉強・指導法をそれぞれに追求してほしいと思います』と優しくも熱い言葉で締めくくられ、研究会は大盛況に終わりました。

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2022年 2月26日 開催
2022年 4月11日 公開

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